音楽喫茶『松和』の昼下がり・57
北欧ジャズは、昼下がりのジャズ喫茶に良く似合う。それも、昼ご飯時の喧噪が潮のように引いた、客も疎らになった静かな店内。そんな静かな店内に流れる北欧ジャズ。透明感のある音と独特な深いエコー。決して熱くならない、冷徹に盛り上がるクリスタルな表現。昼下がりもこの真夏の昼下がりが良い。エアコンの効いた客も疎らなジャズ喫茶の寂しさ漂う空間が良い。
Nikolaj Hess『Trio』(写真左)。2012年の作品。ちなみにパーソネルは、Nikolaj Hess (p), Tony Sherr (b), Kenny Wollensen (ds)。Nikolaj Hess=ニコライ・ヘスは、透明感のあるトーンとリリカルなフレーズが個性の北欧はデンマークのピアニスト。ロックやポップスの楽曲を積極的にカヴァーするのも特徴で、この盤でも、4曲目の「Masters At War」はボブ・ディランの作。
冒頭の「Make You Feel My Love」を聴くだけで、あ〜これは北欧ジャズやなあ、と判る。静謐感溢れる透明度の高い、エコーの効いた音世界。す〜っと余韻の伸びるピアノの音。切れ味の良い純度の高いシンバルの響き。リリカルでしっかりとビートの効いたドラム。3者対等なピアノ・トリオのインプロビゼーション。明らかにこの盤は「北欧ジャズ」。
2曲目「Film」は打って変わって躍動感溢れるトリオ・インプロビゼーション。ダイナミックな展開ではあるが、それぞれの音は透明度の高い、切れ味の良い音。結構、自由度の高いアドリブ展開を繰り広げるが、決して破綻することは無い。ふらつくことも無い。整然と北欧ジャズらしい、スピリチュアル&エモーショナルのバランス取れた情感表現。
自由度の高い、モーダルなインプロビゼーションではあるが、全編に渡ってリズム&ビートが整っているが故、非常に聴き易く、飽きが来ない。モーダルなアドリブフレーズを耳で追っているうちに、一気に聴き切ってしまう。テクニック確かな、端正なトリオ演奏。メリハリと抑揚、緩急が効いたバリエーション豊かな展開。
北欧ジャズは、エアコンの効いた客も疎らな、独特の寂しさ漂う「昼下がりのジャズ喫茶」に良く似合う。透明感のある音と独特な深いエコー。静謐感溢れる透明度の高い、エコーの効いた音世界。思わず「微睡み」を誘われ、ついつい至福の時に身を委ねる。そんな北欧ジャズが朗々と流れる、そんなジャズ喫茶の昼下がりが僕は大好きだ。
東日本大震災から6年4ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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