デジタルな千手観音ドラミング
ドラマーの個性。聴けば聴くほど面白い。叩き方度合いというか、間の取り方というか、叩く密度についてもドラマーは皆それぞれ異なる。間を取って叩く密度が粗いものもあれば、間が無く叩く密度が高いものがある。
この人のドラミングは「間が無く叩く密度が高い」ドラミングの最右翼に当たる。「腕が何本あるのか判らない」くらいの手数の多さ、いわゆる「千手観音ドラミング」である。1980年代、新しいメインストリーム・ジャズの世代から現れ出でた、新しいタイプのジャズ・ドラマーである。その名は「Dave Weckl(デイヴ・ウェックル)」。
そんなデイヴ・ウェックルの「千手観音ドラミング」は、このアルバムで堪能出来る。Dave Weckl『Master Plan』(写真左)。1990年の作品。当時のチック・コリア一派から(Chick Corea (p), Eric Marienthal (sax))、新しいメインストリーム・ジャズの担い手たち(Michael Brecker (ts), Steve Gadd (ds), Anthony Jackson (b))が全面的にバックアップした、ウェックルの初リーダー作である。
この盤でのウェックルの手数の多さに「いったいどうやって叩いているのやら」全くのところ理解に苦しむ、圧倒的な「千手観音ドラミング」である。とにかく賑やかこの上無い。一聴すると「無駄な音もあるよな」なんて揶揄したくなるのだが、聴き込むにつれ「これはこれでありやなあ」なんて感心してしまうドラミング。ありそうでなかなか無い「千手観音ドラミング」である。
「千手観音ドラミング」と言えば、1970年代、ビリー・コブハムが初代「千手観音ドラミング」で一世を風靡した。このコブハムのドラミングに比べて、ウェックルのドラミングはデジタルっぽく切れ味が鋭い。コブハムの「千手観音ドラミング」はアナログっぽく、ウェックルの「千手観音ドラミング」はデジタルっぽい。
圧倒的に聴き応えのあるドラミング。コンテンポラリーな純ジャズ風の演奏の中で、「腕が何本あるのか判らない」くらいの手数の多さ、いわゆる「千手観音ドラミング」が映えに映える。喧しい、と怒るなかれ。これもジャズ・ドラミングの個性のひとつである。圧倒的な高テクニックの産物である。
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