チャールズ・ロイド・リターンズ
ジャズを聴き始めた頃、ジャズ盤紹介本で「チャールズ・ロイドは良い」とあちらこちらで書かれていて、どうかな〜、と思っていたんだが、評論を書いている人は皆、バックのキース、デジョネット、マクビーのリズム隊を絶賛しているついでに、ロイドのテナーを「判り易いコルトレーン」風に評価している。なんだか胡散臭いので長年聴くことは無かった。
そもそも、ロイドの人気が高かったのは、1960年代後半、Atlanticレーベル時代の時。「Love & Peace」のフラワー・ムーブメントの波に乗って、ロイドのテナーは人気があった。しかし、その人気は、ロイドのしたたかなビジネス手腕と時代を見据えたアンテナの成果。ポスト・コルトレーンとしては荷が重すぎたのか、1970年代、フュージョン・ジャズのブームの中、その名は徐々にマイナーな存在になった。
が、1966年録音の人気ライブ盤『Forest Flower』(写真右)を聴いてみると、演奏全体に爽やかな風が吹き向けるような「フォーキー」な演奏全体の雰囲気が実に印象的です。僕はこの『Forest Flower』を初めて聴いたのは、2000年になってから。聴いてみて、確かにバックのリズム隊の凄まじさが前面に押し出ているんですが、ロイドのテナーも爽やかでシンプルで聴き易いもので、これはこれで一つの個性です。
そんなロイドですが、2015年からブルーノート・レーベルに転籍したのですが、このAtlanticレーベル時代の時。「Love & Peace」のフラワー・ムーブメントの波に乗っていた頃の、演奏全体に爽やかな風が吹き向けるような「フォーキー」な演奏に戻った様な感じがします。逆に「したたかなビジネス手腕と時代を見据えたアンテナ」が不要になった今の時代、ロイドの爽やかでシンプルで聴き易いテナーが意外とマッチします。
Charles Lloyd & Marvels『I Long To See You』(写真左)。2015年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Charles Lloyd (ts,fl), Bill Frisell (g), Greg Leisz (pedal steel), Reuben Rogers (b), Eric Harland (ds)。捻れ不思議ギターのビル・フリーゼルの参加が目を惹く。グレッグ・レイズのスチール・ギターも目新しい。どんなジャズになるんや?
ロイドという人はつくづく、バック・ミュージシャンに恵まれてこそ、この個性を発揮できる人なんやなあ、と思う。フリーゼルとレイズの参加で、米国ルーツ・ミュージックをベースにした、フォーキーでカントリーな雰囲気が見え隠れする、コンテンポラリーな純ジャズな展開になっている。これが実に心地良い響きで、安らぎの雰囲気満載なのだ。
東日本大震災から6年4ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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