« R&Bを取り込んだフュージョン | トップページ | デジタルな千手観音ドラミング »

2017年7月 2日 (日曜日)

ヘインズ meets 怪人テナー

10年ぶりにCDプレイヤーを買い換えた。というか、前のプレイヤーはDVDとのコンパチだったので、純粋な単体CDプレイヤーとしては、23年ぶりの買い換えになる。今回はもしかしたら、生涯で最後のモデルになる可能性もあるので、アンプとのバランスを取りつつ、予算的には十分に考慮した。で、やはり良い音が鳴る。暫くは、手持ちのCDを全て聴き直せる。

聴き直しCDの中で、最近の僕のジャズCD鑑賞のトレンドである「ドラマーがリーダーのアルバム」が幾枚かがある。その中でも、その出来に一番感心したのが、Roy Haynes『Out of the Afternoon』(写真左)。1962年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Roy Haynes (ds), Roland Kirk (ts, manzello, stritch, C flute, nose flute), Tommy Flanagan (p), Henry Grimes (b)。

チャレンジのレーベル「Impulse!」からのリリース。百戦錬磨の強者ドラマー、ロイ・ヘインズが、怪人テナー、ローランド・カークを従えてのワンホーン・カルテット。怪人テナーのカークをヘインズがリーダーとして、どうコントロールするのか、聴きものである。バックのリズム・セクションの重要な相棒のピアノには、燻し銀ピアニスト、トミー・フラナガンが控える鉄壁の布陣である。

冒頭の「Moon Ray」の出だしから、ロイ・ヘインズ親分はドラムソロで一発かます。その豪快で柔軟なドラミングを聴きつつ、神妙にテナー・ソロに入るローランド・カークが可愛い。まずは無難な出だし。少し新しい響きを宿した純正なハードバップ風の演奏に終始する。まずは基本から、である。
 

Out_of_the_afernoon1  

 
続く「Fly Me to the Moon」でも、出だしヘインズ親分が一発かますが、後に出てくるカークのソロについては、最大限の自由を与えている。好きに吹き始めるローランド・カークが迫力満点。怪人テナーの面目躍如。フリーでは無い、限りなく自由度の高い、カーク独特のモーダルなテナーソロに思わず「のけぞる」。これが「ローランド・カーク」だ、と言わんばかりの迫力のブロー。ヘインズ親分はバッシバッシ鼓舞する。

軽やかで柔軟なヘインズのドラミングが秀逸。収録されたどの曲でもヘインズのドラミングは絶好調。ヘインズのドラミングを体験するだけでもこの盤は存在価値がある。加えて、ローランド・カークの素晴らしいパフォーマンス。もともとバップなピアニスト、トミフラも積極参戦して、3曲目を過ぎる辺りで、先進的で硬派なメインストリーム・ジャズと相成る。

ジャケット・デザインは「?」。森の中にそれぞれの楽器を持って佇んでいる訳だが、リーダーのロイ・ヘインズはシンバルだけを持って立っている。なんてジャケットなんだ。このジャケットだけは意味不明だが、内容的には先進的で硬派なメインストリーム・ジャズが詰まっているのだから、大目に見ようではないか。今の耳にも新鮮な響きが詰まった好盤である。

 
 

東日本大震災から6年3ヶ月。決して忘れない。まだ6年3ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

保存

« R&Bを取り込んだフュージョン | トップページ | デジタルな千手観音ドラミング »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ヘインズ meets 怪人テナー:

« R&Bを取り込んだフュージョン | トップページ | デジタルな千手観音ドラミング »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー