ピアノ・トリオの代表的名盤・61
ロイ・ヘインズのドラミングが個性的で面白い。どうも填まったようだ。バシャバシャとラフにディレイする様なスネア、粋に切れ味良く芯を貫いたようなシンバル、小粋におかずの様に合間合間に入るタムタム。曲の出だしのドラミングをちょっと聴くだけで「ロイ・ヘインズ」と判る様な「明確な個性」。
そんなロイ・ヘインズを心から愛でることが出来るピアノ・トリオ盤に出くわした。『The Roy Haynes Trio』(写真左)である。1999年9月〜11月の録音。ちなみにパーソネルは、Roy Haynes (ds), Danilo Perez (p), John Patitucci (b)。パナマ出身の実力派ピアニスト、ダニーロ・ペレスの参加が目を惹く。そして、ベースは、ベーシスト界最高峰の一人、ジョン・パティトゥッチ。
冒頭、バド・パウエルの「Wail」の出だしを聴くだけで「おお、このドラムはヘインズだ」と判る。どんどん聴き進めて行くと、このピアノ・トリオのドラムは、明らかに「ロイ・ヘインズ」だと確信する。そう、このピアノ・トリオ盤、全編に渡って、ロイ・ヘインズの個性的なドラミングが溢れている。この盤を聴き通せば、ロイ・ヘインズの個性、手癖、タイム感覚が実感を通じて理解出来る。
ヘインズ御大、この盤の録音時は74歳。かなり高齢なので「大丈夫か」と思うのだが、大丈夫どころか「凄い」。これだけ、硬軟自在、縦横無尽、変幻自在に叩きまくるドラミングをあまり聴いたことが無い。しかも、切れ味良くスイングする。曲想によって、曲のテンポによって、タイム感覚を変化させ、間合いの取り方をダイナミックに変えていく。これだけ柔軟なジャズ・ドラムはそうそうに無い。繰り出す繰り出す変拍子。
ダニーロ・ペレスのピアノも個性的だ。今までにありそうで無かった、耽美的ではあるが硬質で切れ味の良い、活き活きしたフレーズ。線が細くならない、繊細な弾き回し。ロイ・ヘインズの柔軟度の高いドラミングにピッタリ合う。そして、ヘインズのドラム、ペレスのピアノをしっかりと繋ぎ止め支えるのが、パティトゥッチのベース。
なかなか内容の濃い、出来の良いピアノ・トリオ盤です。2000年以降にリリースされたピアノ・トリオ盤の中では屈指の出来だと思います。21世紀の、現代のコンテンポラリーな純ジャズ路線をしっかりと踏まえた『The Roy Haynes Trio』。選曲も実に趣味が良い。加えて録音も良い。21世紀のピアノ・トリオの好盤の一枚です。
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