ジャズ・テナーの裾野は広く深い
梅雨に入ったには入ったらしいが、あまり梅雨らしい日が無い、雨が降っても続かない、我が千葉県北西部地方である。朝は結構涼しいし、夜は夜で、湿ってはいるが涼しい風が吹き抜ける。今年はなかなか良い感じの夏至の季節である。こういう時は、スカッと吹き抜けるテナーの音色が良い。バリバリ吹き上げるテナーが良い。
誰が良いかな〜、とアルバムを物色して選んだアルバムがこれ。Booker Ervin『Booker 'N' Brass』(写真左)。1967年9月の録音。フレディ・ハバード、チャールズ・トリヴァーらが参加したブラス・アンサンブルをバックに、ブッカー・アービンがテナーを吹きまくる。ブッカー・アービン with ブラス・セクション。
ブッカー・アービンのテナーは、フリージャズ基調のブロウという印象が強いが、意外とオーソドックスなブロウが多い。確かに、モーダルなブロウがメインで、限りなく自由度の高いブロウが得意ではあるが、決して、フリー・ジャズの人では無い。意外と伝統の範囲内で、限りなく自由度を高めつつも、従来のジャズの枠の中に留まるブロウで、これはこれで好ましい。
バックのブラス・アンサンブルもテクニック豊かでドライブ感も抜群なのだが、それにも増して、アービンのテナーが素晴らしい。フリーなブロウは限りなく封印して、意外と正統派な、重厚なテナーを聴かせてくれる。そう、この盤はブッカー・アービンのテナーを心から愛でる盤である。それほどまでに、アービンのテナーは素晴らしい。
ブルージーである。そしてソウルフル。シュッとしたスッキリしたファンクネス濃厚。速いフレーズが耳に心地良く響く。もしかしたら、アービンのベストプレイのひとつかもしれない。コッテコテの電光石火のアービンのブロウ。ジャズのテナーってこれほどまでに吹きまくることが出来るんやなあ、と変に感心してしまう。
シンプルな旋律が個性のアービン。ジャズ・テナーを愛でるのに最適の一枚である。僕がこの盤に出会ったのは10年ほど前。この盤を聴いた時は「目から鱗」ならぬ「耳から鱗」(笑)。コルトレーンとロリンズに比肩するテナーは無い、と思っていたが、アービンも凄い。ジャズ・テナーの裾野は広く深い。以来、僕はジャズ・テナーの森を彷徨っている。
東日本大震災から6年3ヶ月。決して忘れない。まだ6年3ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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