ネオ・ハードバップでパーカー曲
ドラマーがリーダーのアルバムはいつ聴いても興味深い。リーダーのドラマーが、バンド演奏の大本をしっかり握って、演奏全体の雰囲気やテンポをガッチリとコントロールし、アルバム全体の演奏の内容を決定付けていく。バックのリズム・セクションの真ん中にドッカリと座って、フロントの楽器をコントロールし煽る。
ドラマーがリーダーのアルバムは、その時代その時期のジャズ演奏のトレンドをしっかり反映したものが多い。成果を上げてきたリーダーとして有名なドラマーは、といえば、まずは、アート・ブレイキー、そして、マックス・ローチ、トニー・ウィリアムス、そして、今回、ご紹介する、ロイ・ヘインズ(写真右)。
ロイ・ヘインズはリーダーとして目立ってグイグイ引っ張るタイプでは無い。演奏全体の方針を明快にした後、前に出ず、後ろにドッカリ控えて、ドラミングで引っ張るタイプだ。そして、ロイ・ヘインズもドラミングには個性が溢れている。演奏を暫く聴いていると、直ぐにロイ・ヘインズと判る、明確に個性のあるドラミングである。
Roy Haynes『Birds of a Feather - A Tribute to Charlie Parker』(写真左)。2001年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Roy Haynes (da), Dave Holland (b), Roy Hargrove (tp), Kenny Garrett (sax), Dave Kikoski (p)。そんなロイ・ヘインズの「チャーリー・パーカー・トリビュート」な企画盤である。
このアルバムのタイトルから、ビ・バップな演奏を展開するかと思いきや、パーカーゆかりの楽曲の魅力をしっかり活かしつつ、アレンジは「ネオ・ハードバップ」。2001年当時の最先端を行く演奏内容である。とにかくモダンで新しい響きに満ちている。
まあ確かに、ビ・バップなブロウを基調とするロイ・ハーグローブ、オールラウンドなピアニストであるデヴィット・キコスキー、ベテラン・ベーシストのディブ・ホランド、そして、純ジャズ復古の頃から中心メンバーとして活躍してきたケニー・ギャレット。この面子からすると「ネオ・ハードバップ」が一番得意とするところなのだろう。
しかし、このアルバムの目玉はやはりリーダーのロイ・ヘインズ。この録音時は76歳、それでいて昔のドラミングのスタイルを引き摺ること無く、他のメンバーの最も得意とする「ネオ・ハードバップ」に適応するどころか、アルバム全体でリードすらしているところが凄い。曲はビ・バップ時代の名曲だが、演奏は当時先端の「ネオ・ハードバップ」。
アルバムのジャケット写真が、このアルバムの内容の雰囲気を的確に伝えてくれているように感じます。参加メンバーそれぞれに実力通りの充実した演奏を繰り広げていますし、とりわけ、リーダーのロイ・ヘインズのドラミングが良い。ロイ・ヘインズのリーダー作に外れ無し。この盤も例外ではありません。
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