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2017年5月12日 (金曜日)

現代ジャズの「深化」の成功例

「ジャズは死んだ」という評価は1970年代から始まった。しかし、僕は1970年代後半にジャズを聴き始めた。ジャズを聴き始めた頃、ジャズ界は空前の「フュージョン・ジャズ」のブーム。フュージョン・ジャズも沢山聴いた。でも「ジャズは死んだ」とは感じなかった。逆に「進化している」と感じた。

1950年代後半に大ブームとなった「ハードバップ」がジャズの全て、とする極端な意見もある。ジャズの進化は「コルトレーンの死と共に終わった」と言い切る人もいる。1970年代以降のフュージョン・ジャズはジャズじゃない、と切り捨てる人もいる。でも今、21世紀になってもジャズは世界中で多くの人に聴かれている。

さすがに21世紀になって、革新的な演奏方式やアプローチが出てくる可能性は少なくなってきたように思う。しかし、旧来の演奏方式、例えば「ハードバップ」や「モード・ジャズ」などを深く掘り下げたり、新たな演奏バリエーションを生み出すこと、また、他の音楽ジャンルとの融合、いわゆるフュージョンの裾野を広げること、など、まだまだジャズは「深化」していると感じる。
 

Symbols_of_light

 
Greg Osby『Symbols of Light』(写真左)。2001年1月の録音。ちなみにパーソネルは、Greg Osby (sax), Scott Colley (b), Nioka Workman (cello), Marlon Browden (ds, perc), Jason Moran (p), Judith Insell-Stack (viola), Christian Howes, Marlene Rice-Shaw (vln)。パーソネルを見れば判るが、サックスのワンホーン・カルテットに弦楽四重奏が絡む。

結構「キワモノ」の編成であるが、この盤は「成功例」。サックスのワンホーン・カルテットのジャズに弦楽四重奏が違和感無く溶け込んでいる。新たな演奏バリエーションの成功例である。弦楽四重奏のメインはクラシックであり、ジャズにクラシックの要素をしっかりと溶け込ませている。いわゆる、フュージョンの裾野を広げているのだ。

アルバムの演奏を聴けばヒシヒシと感じるのだが、アレンジが行き届いている。適当にワンホーン・カルテットと弦楽四重奏を合わせている訳では無い。実に良く考えてアレンジされている様がとても良く伝わってくる。これだけ優れたアレンジを施しているとは、オズビー恐るべしである。結果、新しいジャズの響きを生み出している。これぞ、ジャズの「深化」である。

 
 

震災から6年2ヶ月。決して忘れない。まだ6年2ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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