こんなアルバムあったんや・82
ピアノ・トリオを欲する耳になって1週間ほどが経つ。ピアノ・トリオって聞くと、響きの良い趣味の良い耳当たりの良い演奏を思い浮かべる人が多いが、ピアノ・トリオって、そんなに単純なものではない。バリバリ尖った、ジャズ者初心者の方々が聴くと、椅子から転げ落ちてしまう位の硬派な演奏もある。
そういうバリバリ尖った硬派な演奏内容のピアノ・トリオって思いを巡らした頭に浮かんだアルバムがこれである。Connie Crothers『Perception』(写真左)。1974年の録音。ちなみにパーソネルは、Connie Crothers (p), Joe Solomon (b), Roger Mancuso (ds)。リーダーのコニー・クローザースの初リーダー作になります。
このアルバムに出会ったのは、今からかれこれ5年ほど前。それでも、リーダーのコニー・クローザース以下、ドラマーもベーシストも知らない人であった。さすがは「SteepleChaseレーベル」である。侮れない。こんな女性ピアニストがいたんや。聴けば判るが、思いっきり尖って、思いっきり硬派なジャズ・ピアノを弾きまくる「奇才」である。
この人のピアノを聴いて、真っ先に頭に浮かぶピアニストが「レニー・トリスターノ」。調べたら、そもそも、リーダーのピアニスト、コニー・クローザーズはレニー・トリスターノの第2世代の子弟であったそうだ。そうでしょうね。このアルバムのピアノを聴けば絶対にそう推測しますよね。しかし、トリスターノのフォロワーであるピアニストの存在は、現代においては珍しいと言えば珍しい。
加えて、よくよく聴いていると、モンクのピアノの雰囲気も入っている。間を活かしたタイム感覚はトリスターノというよりはモンクですね。トリスターノ+モンクの雰囲気で、限りなくフリーに近いメインストリームなジャズ・ピアノを展開します。
時にアブストラクトにブレイクダウンする部分もあり、ジャズ・ピアノに響きの良い趣味の良い耳当たりの良い演奏を求める向きには「ちょっと」という内容です。しかし、ジャズ・ピアノ好きには、これはこれで堪らない。聴き始めるとついつい耳を傾け、最後まで一気に聴き切ってしまいます。
ピアノ・ソロとトリオ演奏の2つの演奏形式が収録されていますが、ピアノ・ソロの方に、コニー・クローザースの個性がより露わに表現されていると思います。この盤が1970年代にリリースされた故、あまり着目されなかったのが実に惜しい。ジャズ・ピアノのスタイリストの一人として貴重な存在であったと思います。
ただ、彼女のディスコグラフィーを見直すと、このリーダー作から2012年まで、2〜3年に1枚の割合でリーダー作をリリースしていたようなので、米国ではある程度、評価されていたのかな、と安心しました。ちなみに、コニー・クローザースは惜しくも昨年8月に逝去しました。享年75歳でした。
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