夏はボサノバ・ジャズ・その30 『Dance of Time』
「ボサノバ」とは、ブラジル音楽のジャンルのひとつ。ブラジル音楽と言えば「ボサノバ」である。1950年代後半に発祥し、1950年代終盤にはブラジルで大ヒットし、ブラジルのポピュラー音楽に革命を起こし、世界中の国へ飛び火した。
米国では1960年代前半、テナーのスタン・ゲッツがいち早く、ボサノバをジャズに取り入れ大ヒット。以降、ボサノバ・ジャズは、いつの時代にも必ずあり、幾枚かのアルバムは必ずヒットする。ボサノバ・ジャズは今やジャズのポピュラーな演奏形式のひとつとなっている。
Eliane Elias(イリアーヌ・イリアス)。1960年生まれだから、今年で57歳。ブラジル出身の美貌のジャズ・ピアニスト&ボーカリストである。我が国では「イリアーヌ」とファースト・ネームだけで呼ばれることも多い。トランペッターのランディ・ブレッカーの元嫁。現在の夫はベーシストのマーク・ジョンソン。現代の「ボサノバ・ジャズ」の代表格である。
イリアーヌといえば「ボサノバ&サンバ」。とにかく、ボサノバ主体のリーダー作が多い。とにかく多い。このところ、さすがに食傷気味になってきた。時々、ビル・エバンスやチェット・ベイカーへのトリビュート企画盤を出したりするが、他は基本的に「ボサノバ&サンバ」。
初期の頃は、ジャズ主体の「ボサノバ&サンバ」だったが、以降、歳を重ねるにつれ、純粋な「ボサノバ&サンバ」に傾倒していった。これではもはやジャズとは言えなくなるなあ、と思っていたら、前作の「Made in Brasil」でちょっとジャズ寄りに修正してきた。そして、今回のこの新作である。
今年のイリアーヌの新作は、Eliane Elias『Dance of Time』(写真左)。「ボサノバ&サンバ」ジャズの集大成的なアルバムである。イリアーヌのボーカル&ピアノの素晴らしさもさることながら、この盤では、それぞれの曲に施されるアレンジ、そして、バンド全体のグループ・サウンドのテクニックの高度さと精度の高さが素晴らしく、「ボサノバ&サンバ」ジャズをアートの高みへと誘っている。
アルバム全般に渡って、緩みは破綻は全くないどころか、完璧に近いくらい「理路整然」としている。形式美が個性のアーティステックな「ボサノバ&サンバ」ジャズな盤である。イリアーヌの「ボサノバ&サンバ」ジャズ盤の中でも、この盤の完成度は群を抜いている。
イリアーヌの「ボサノバ&サンバ」ジャズ盤の「けじめ」とも言える一枚。これ以上の「ボサノバ&サンバ」ジャズ盤を望むには無理上がる。それほど、この盤は完成度が高い。さて、イリアーヌの次作は何処へ行くのだろう。イリアーヌの次作への展開が実に楽しみである。
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