ガーランドの初リーダー作 『A Garland of Red』
ジャズはいろいろな楽器、いろいろな編成、いろいろな演奏スタイルがあって、それぞれ特徴と個性があって聴いていて楽しいのだが、僕の場合、最後に戻ってくるのは、やっぱり「ピアノ・トリオ」なのだ。
ピアノの表現バリエーションが多彩で幅広であること、シンプルな構成であるが故にベースとドラムのリズム・セクションの詳細が判り易いこと、ピアノが僅かながら自分でも弾けること、この3点から、ジャズを聴き始めた頃から「ピアノ・トリオ」が大好きである。かれこれ40年、ピアノ・トリオを聴き続けていることになる。
ピアノ・トリオと言えば「レッド・ガーランド(Red Garland)」である。1923年生まれ1984年没。ジャズ・ピアノのレジェンドである。判りやすいジャズ・ピアノは、と問われれば、僕は、まず、レッド・ガーランドの名前を挙げる。ビートに乗った左手のブロック・コード、その上で軽やかにメロディーを奏でる右手のシングル・トーン。そんなシンプルな技で味とコクのあるジャズ・ピアノを聴かせてくれる。
ガーランドは、いつの時代も「自分のシンプルな演奏スタイル」を変えることはなかった。シンプルで判り易いが故に「金太郎飴的カクテル・ピアノ」と揶揄されることもあるが、「左手のブロック・コード+右手のシングル・トーン」は実に分かりやすく、実に聴きやすいのだ。
そんなレッド・ガーランドの初リーダー作が『A Garland of Red』(写真左)。1956年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Red Garland (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。鉄壁のトリオ編成。ガーランドのシンプルなジャズ・ピアノに、骨太で安定感抜群のチェンバースのベース、多彩で安心感抜群のテイラーのドラムは最適なパートナーである。
さて、この初リーダー作、まず選曲が抜群に良い。ラストの「Blue Red」以外、他はスタンダード曲が中心なのだが、ガーランドの「左手のブロック・コード+右手のシングル・トーン」のシンプル・ピアノが映える、小粋で判り易い旋律を持ったスタンダード曲が選曲されている。これが良い。ガーランドは自分のピアノの個性を良く理解している。
昔、判り易いことはジャズでは御法度とされた。判り易いジャズ・ピアノはカクテル・ピアノと揶揄された。しかし、このガーランドのピアノを聴いていると、決して安直でチープな演奏では無いことが判る。シンプルなピアノであるが故、いかにジャズとして聴かせるか。これにはとてもテクニックとイマージネーションが必要になる。
このガーランドの初リーダー作を聴いていると、これが「ジャズ・ピアノ・トリオ」の基本形のひとつだと確信する。ガーランドのプロフェッショナルな技を堪能することが出来る。これが初リーダー作だなんて、改めてビックリ。当時、ガーランドは33歳。遅いくらいの初リーダー作。落ち着き払ったガーランドのプレイには風格すら漂う。好盤です。
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