キャンディドらしい音・3
このアルバムもキャンディド・レーベル(Candid Label)らしいアルバムだろう。収録された演奏といい、録音された音といい、アルバム・ジャケットのデザインといい、この盤も明らかに「キャンディド・レーベル」ならではの盤である。アルバムとしての佇まいはとても良い雰囲気である。
Richard Williams『New Horn In Town』(写真)。1960年9月の録音。CJM 8003番。ちなみにパーソネルは、Richard Williams (tp), Leo Wright (as, fl), Richard Wyands (p), Reginald Workman (b), Bobby Thomas (ds)。フロントがトランペットとアルトサックスの2管フロントのクインテット構成。
この番、音が良い。リチャード・ウィリアムスのトランペットがとっても良く鳴っている。ブリリアントに朗々とトランペットが鳴る。トランペットの音がこれほど良く朗々と鳴っている盤も珍しい。バックバンドの音もキャンディドの音らしく、音の厚みと中低音域の充実した音圧が心地良い。
アップテンポの曲では優れたテクニックを駆使して、よどむこと無く流麗な運指でトランペットを吹き進めていく。スローテンポのバラードでは、ブラスの音をブリブリ振るわせるように響かせながら、説得力のある堅実なフレーズを滑らかに力強く吹き上げる。いや〜リチャード・ウィリアムスって上手いね〜、とほとほと感心する。
そんなトランペットの演奏の中で、特にバラードプレイが秀逸である。2曲目の「I Remember Clifford」、6曲目の「Over the Rainbow」のバラードプレイは落涙ものである。主旋律を捻ること無く素直に朗々と吹き上げ、アドリブ・フレーズではスローテンポではあるが、揺らぎの無い堅実で芯のある音で惹き付ける。
フロントの相棒、レオ・ライトのアルトも大健闘、バックのリズム・セクションも良好なパフォーマンスを繰り広げていて、アルバム・トータルの出来としても上々。ハードバップなトランペットの好盤の一枚です。ジャズ盤の紹介本には、なぜかその名前が挙がることが少ない盤ですが、ジャズ者万民にお勧めの好盤です。
★震災から6年。決して忘れない。まだ6年。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっとずっと復興に協力し続ける。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« キャンディドらしい音・2 | トップページ | キャンディドらしい音・4 »
コメント