キャンディドらしい音・2
キャンディド・レーベル(Candid Label)のアルバムは「ならでは」の特徴がある。音はジャズメンの志向、意向をストレートに演奏に反映したもので、当時として先進的な、挑戦的な内容のものが多い。加えて、音の厚みと中低音域の充実した音圧は、キャンディド・レーベルならではのもの。そして、ジャケット・デザイン。ロゴタイプが独特なものが多い。
例えば、このアルバムも明かに「キャンディド・レーベル」らしい。Pee Wee Russell & Coleman Hawkins『Jazz Reunion』(写真左)。1961年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Emmett Berry (tp), Bob Brookmeyer (tb), Pee Wee Russell (cl), Coleman Hawkins (ts), Nat Pierce (p), Milt Hinton (b), Jo Jones (ds)。
スイング時代から活躍してきた、当時でベテランの域に達していた「オールド・スタイル」のジャズメンにスポットを当てたメンバー構成とみた。演奏スタイルは1961年の録音なので「ハードバップ」ではあるが、アドリブ・ソロをとる各楽器の雰囲気は、ほんのりと「スイング」な雰囲気が漂っている。故事成語で喩えると「温故知新」の様な演奏内容である。
楽器はそれぞれ良く鳴っている。特に双頭リーダーの、ピー・ウィー・ラッセルのクラリネットとコールマン・ホーキンスのテナーはとても良く鳴っている。響きは「スイング」なれど、演奏の内容は明確な「ハードバップ」ど真ん中。音も太いので迫力満点、抑揚強弱もメリハリ良く効いていて、演奏自体に聴き応えがある。これぞ「ジャズ」的な、典型的なハードバップ。
とりわけ、ピー・ウィー・ラッセルのクラリネットがこんなに素晴らしいとは思わなかった。明らかに嬉しい誤算。スイング時代のクラリネット名手であるピー・ウィー・ラッセルが、1961年になって、ハードバップという当時のジャズのトレンドなフォーマットの中で、これだけ素晴らしいインプロビゼーションを聴かせてくれるとは思わなかった。
収録された演奏といい、録音された音といい、アルバム・ジャケットのデザインといい、この盤は明らかに「キャンディド・レーベル」ならではの盤である。もう一人のリーダー、ホーキンスのテナーもボボボボッとオールドスタイルよろしく、素敵に鳴っていて、これも聴きもの。良いアルバムです。キャンディド・レーベル入門盤の一枚としてお勧めです。
震災から6年。決して忘れない。まだ6年。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっとずっと復興に協力し続ける。
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