ジャズ喫茶で流したい・102
昔からジャズという音楽ジャンルは、クラシックと双璧の「音楽芸術」の側面があると思っている。ダンスや「飲み」の傍らでの「娯楽音楽」の側面もあるが、テクニックの素晴らしさ、アドリブ・フレーズの素晴らしさなど「音楽芸術」の側面もかなり大きなパーセンテージを占める。
ジャズがこの世に出現してから、そろそろ100年になるんだが、まだまだジャズはマンネリにならない。我が国では1970年あたりから「ジャズは死んだ」と言われ続けているが、はや21世紀になって10年以上経つが、まだまだジャズは進化し続けている。本当に面白いなあ、と思うのは、さすが即興の音楽と言われるジャズ、同じ曲を採用しても同じパターンの演奏が全く無いこと。
ジャズの演奏スタイルは、楽器演奏であるが故、ある程度限定されるんだが、それでも、その組合せと演奏者の個性の掛け合わせで、無限のバリエーションが存在する。そういう面では、まだまだジャズは進化し続けるのだろう。
Danilo Perez, John Pattituci & Brian Blade『Children of the Light』(写真左)。 2015年の作品。ちなみにパーソネルは、Brian Blade (ds), John Patitucci (b), Danilo Perez (p)。この作品は「Doctor」と呼ばれる、ウェイン・ショーターへ捧げた作品。
ドラムのブライアン・ブレードのリーダー作なので、ドラムが小粋にハイテクにところどころ前面に出ながら、ピアノが旋律を決め、ベースがビートの底を支える。高度なテクニックと豊かなフレーズ感で、このピアノ・トリオの響きは「新しい」響きに満ちている。ソリッドな透明感とダイナミズムが共存する、ネオ・モーダルなピアノ・トリオ演奏である。
そう、このピアノ・トリオは、現在のウェイン・ショーターのバンドからショーター抜いたピアノ・トリオ。なるほど、アルバム全編に渡って、ショーターは演奏者としては存在しないのだが、ショーターの雰囲気、ショーターの個性が蔓延している。高度なテクニックと魅惑的な楽器の響きが、ショーターの音世界を増幅する。伝統的な響きと新しい響きが交差し、新たな音を創出する。
こういう演奏を聴くと、まだまだ「ジャズは死なないなあ」と思うのだ。エンタテインメント性は希薄であるが、アーティスティックな要素は濃厚である。ジャズに「芸術」を求めたい時には、このアルバム、なかなか良い雰囲気だ。
アレンジも程良く、楽器の響きは濃密で、聴き応えはまるでテンションの高いクラシックの演奏を聴いている感じ。決して、楽しんだり、ながら聴きする盤では無いが、スピーカーに対峙してジックリと聴けば聴くほどに聴き応えが増す、そんな優秀盤である。
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