« 現代ヴァイブのイノベーター | トップページ | キャンディドらしい音・2 »

2017年3月20日 (月曜日)

キャンディドらしい音・1

キャンディド・レーベル(Candid Label)。ポップス・シンガーとして有名なアンディ・ウィリアムスを社長とするケーデンス・レコードのジャズ専門の子会社として1960年にスタート。監修者にジャズ評論家として名高いナット・ヘントフを迎え、ジャズメンの志向、意向をストレートに演奏に反映することをポリシーに活動したが活動期間はわずか2年。

活動期間はわずか2年と短いが、キャンディド・レーベルに残されたアルバムはいずれも内容が濃い。キャンディドならではのアルバムも存在する。代表的なものとしては、チャールズ・ミンガスやセシル・テイラーや、あるいはブッカー・リトルやブッカー・アービンのリーダー作はいずれもキャンディドらしい内容である。

わずか2年の活動の中でアルバム化されたアルバムは27枚。そんな僅か27枚については、全てのアルバムを俯瞰して見ると、いかにもキャンディド・レーベルらしいものばかりである。例えば、Benny Bailey『Big Brass』(写真左)。CJM 8011番。1960年11月の録音。

ちなみにパーソネルは、Benny Bailey (tp), Julius Watkins (French horn), Les Spann (fl, g), Phil Woods (as, b-cl), Tommy Flanagan (p), Buddy Catlett (b), Art Taylor (ds)。 フレンチ・ホルンの参加がユニーク。ピアノのトミフラ、アルトのウッズ、ドラムのテイラーなど、要所要所に粋なジャズメンが脇を固める。
 

Big_brass

 
クインシー・ジョーンズ・オーケストラの花形ソリストとして活躍したビ・バップ出身のトランペッター、ベニー・ベイリーのリーダー作である。ベイリーのリーダー作は20枚弱とそんなに多く無い。1960年代は5枚程度。この『Big Brass』は初リーダー作になる。ベイリーの艶やかなトランペットの音色が実に印象的。

加えて、ジュリアス・ワトキンスのフレンチ・ホルンとのアンサンブルにより、ベイリーのトランペットのフレーズに厚みが加わる。アルバム全体を通じて優れたアレンジが印象的で、アルバム全体にとても内容の整ったハードバップな雰囲気が蔓延している。音の厚みと中低音域の充実した音圧は、キャンディド・レーベルならではのもの。

「現代のジャズにおいては、ラウドでビッグな音やハイノートをヒットするばかりが良きトランペットとは限らない」という言葉が頭をよぎる。1950年代半ばまではラウドでビッグな音やハイノートをヒットするばかりが良きトランペットであった。しかし、1960年代に入るに従い、その基準は揺らぎ、ジャズ・トランペットは深化していった。そんなジャズ・トランペットの深化を感じるベイリーの初リーダー作である。

ちなみに新生キャンディド・レーベルは「英キャンディド」としてロンドンに本社をおき、ステイシー・ケントやジム・トムリンソン等の新録音等を活発に始めている。

 
 

★震災から6年。決して忘れない。まだ6年。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっとずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

保存

« 現代ヴァイブのイノベーター | トップページ | キャンディドらしい音・2 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: キャンディドらしい音・1:

« 現代ヴァイブのイノベーター | トップページ | キャンディドらしい音・2 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー