異色のウィズ・ストリングス盤
Ahmad Jamal『Jamal At the Penthouse』(写真左)。1959年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Ahmad Jamal(p), Israel Crosby(b), Vernell Fournier(ds), Joe Kennedy(cond,arr)。タイトルを見るとライブ盤と思ってしまうが、実は、Nola Penthouse Studiosでのスタジオ録音。
しかも、ジョー・ケネディー率いる15人のストリングスとの共演盤。いわゆる「アーマッド・ジャマル・ウィズ・ストリングス」という風情の企画盤。こういう「ウィズ・ストリングス盤」って、ストリングスのアレンジが陳腐だったり、時代を感じさせるものだったりすると、全く聴くに堪えないものになってしまうのですが、この盤はそういうことも無く、アーマッド・ジャマルのシンプルでスインギーなピアノもしっかりと捉えられています。
パーソネルを見渡すと、かの名盤『At the Pershing: But Not for Me』と同じベーシスト&ドラマー。この名盤がシカゴで録音された後、1年後のNY録音なので息もピッタリ。この名盤『But Not for Me』での、マイルス・デイヴィスも惚れ込んだ、「間」を活かし、弾く音を限りなく厳選し、シンプルな右手のフレーズと合いの手の様に入る左手のブロックコードが特徴のジャマルのピアノは継続され、それを的確にサポートするトリオ・サウンドは健在です。
但し、先にも書いた様に、この盤は「ウィズ・ストリングス盤」なので、内容的にはムーディーで、良質なジャズのBGM、もしくは良質なラウンジ・ミュージック的な雰囲気が色濃く、ジャズ喫茶や自室のステレオで、盤に対峙してピアノ・トリオのサウンドをじっくりと聴き込むような盤ではありません。僕は「ながら聴き」に最適なジャズ企画盤として重宝しています。
「間」を活かし、弾く音を限りなく厳選したアーマッド・ジャマルの右手のフレーズ。その「間」を埋めるようにアレンジされたストリングス。この良くアレンジされたストリングスの存在が、この盤を「ながら聴き」に最適な「ウィズ・ストリングス盤」に仕立て上げています。この盤の録音された後、10年ほどの後の、ヴァーヴ時代のクリード・テイラーの「イージーリスニング・ジャズ」の繋がる音世界にホンワカ和みます。
盤に対峙してピアノ・トリオのサウンドをじっくりと聴き込むようなメインストリームな純ジャズも良いですが、日曜日の昼下がり、本を片手にちょっと微睡みながら「ながら聴き」する、こんな「ウィズ・ストリングス盤」も良い感じです。これもジャズ。僕は意外と愛聴しています。
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