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2017年1月12日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・98

ジャズって、有名なジャズメンもいれば、そうでない、知る人ぞ知るジャズメンもいれば、全く無名のジャズメンもいる。それでは、有名なジャズメンだけが良い演奏をするのか、と言えばそうでは無く、知る人ぞ知るジャズメンだって、全く無名のジャズメンだって、これはっ、と驚くほどの好演を残している場合も多々ある。

そういうところがジャズの不思議で面白いところで、有名なジャズメンではないから、とスルーすると残念なことになってしまうこともある。まあ、ジャズ者初心者の頃は「有名なジャズメン」中心に「推薦盤」を攻めるのが安心で良いだろう。しかし、ジャズ者ベテランの域に差し掛かると、知る人ぞ知るジャズメンに触手を伸ばして、ジャズの奥深さを感じるのも良い経験である。

さて、そんな「知る人ぞ知る」ジャズメンの一人が「Wardell Gray」=ワーデル・グレイ。ファッツ・ナヴァロなど初期ビ・バップ中で、早くからテナー・サックスをプレイしていた男。1921年生まれ。1955年5月、34歳の若さで亡くなった天才テナー奏者である。活動期間は約10年程度。40年代末にデクスター・ゴードンとバンドを組んでテナー・バトルを繰り広げたころ、全米では大変な人気があったそうだ。

生涯、リーダー作は約20枚ほど残してはいるようだが、ジャズ盤紹介本に出てくるアルバムは、ほぼ「これだけ」と言ってもよいだろう。というか、僕はこの盤しか所有していない。『Wardell Gray Memorial, Vol. One and Two』(写真)。

このメモリアル盤は、ジャズ盤紹介本に時々出てくる。ジャズを聴き初めて2年位、僕も彼の名前はジャズ盤紹介本で知った。しかし、この「メモリアル・アルバム」をレコード屋で見かけたことは無い。この「メモリアル・アルバム」を手にすることが出来る様になったのは、CDで復刻されてから。それまでは「幻の名盤」扱いだった。
 

Wardell_gray_memorial

 
ワーデル・グレイのテナーは、太すぎず細すぎず、良い音で鳴る。ああ、テナー・サックスが心地良く鳴っているなあ〜、って心から感じる。そして、アドリブ・フレーズが良い。イマージネーション豊かに、唄うが如く、アドリブ・フレーズを紡ぎ上げていく。加えて、ビ・バップ奏者ならではの躍動感が良い。

そんなワーデル・グレイのテナーを心ゆくまで楽しめるアルバムがこの『Wardell Gray Memorial, Vol. One and Two』の2枚。ワーデル・グレイを偲んで編まれた名演集。録音年は1950年4月25日、1950年8月27日、1952年1月21日の3つに分かれる。録音年によって、録音の音質も変わる。

このメモリアル・アルバムの録音の音質が良好なトラックのワーデル・グレイが好きだ。彼のテナーの特質である、太すぎず細すぎず、良い音で鳴るところが心底楽しめる。音質が良いので、イマージネーション豊かに唄うが如くのアドリブ・フレーズを心から堪能出来る。音質が良いので、ビ・バップ奏者ならではの躍動感もダイレクトに伝わってくる。

僕は、このメモリアル・アルバムの録音の音質が良好なトラックをチョイスして、iTunesでプレイリストを組んで、ステレオで聴くのが最近のトレンド。といって、音質がイマイチのトラックも、イマージネーション豊かに唄うが如くのアドリブ・フレーズについては十分に味わえる。同じ曲のテイク違いも沢山入っているが、アドリブ・フレーズのバリエーションが豊かなので飽きることは無い。

知る人ぞ知るテナー奏者、ワーデル・グレイ。彼のテナーを味わう最適な「メモリアル・アルバム」の2枚。さり気なく、ジャズ喫茶で流すというシチュエーションが良い感じですね。

このアルバムの収録の最後の年、1952年の3年後、1955年5月25日に巡業先のラスベガスの郊外で変死体となって発見されることになる。死因はオーバードーズ。ジャズメンによくありがちな最期であるが、惜しいテナーマンを早々に亡くしたもんだ。ジャズ界には往々にある悲劇のひとつである。 

 
 

震災から5年10ヶ月。決して忘れない。まだ5年10ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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