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2016年12月 7日 (水曜日)

個性輝く『Booker Little 4 & Max Roach』

最近、トランペットのジャズ盤を聴き直している。と言って、マイルスなどの超有名どころというよりは、ちょっとマニアックな、中堅どころのトランペッターのリーダー作を漁って、聴き直している。

漁っていて、実はこのトランペッターのリーダー作を久しく聴いていないことが判明した。ブッカー・リトル(Booker Little)である。1938年生まれの1961年没。なんと23歳にて早逝。1958年の初リーダー作、1961年没だから、活躍したのはたった3年。それでも、彼のトランペットのスタイルはジャズの歴史上で重要。

ブッカー・リトルのスタイルは、明らかに「クリフォード・ブラウン」をルーツにしている。「クリフォード・ブラウン」のスタイルをベースに、バランスの取れた柔和なフレージングが特徴。流麗なテクニックではあるが、それをひけらかすことは無い。円熟したアドリブ・フレーズが新しい感覚。

そんなブッカー・リトルのトランペットの特徴が良く判るアルバムがこれ。『Booker Little 4 & Max Roach』(写真左)。ブッカー・リトルの初リーダー作になる。1958年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Booker Little (tp), George Coleman (ts), Tommy Flanagan (p), Art Davis (b), Max Roach (ds)。

簡単に言えば「ブッカー・リトル5重奏団」なんだが、自己顕示欲の強い目立ちたがり屋のマックス・ローチが、自分の名前をタイトルに出すことを強要したのだろうか、ちょっと変ちくりんなアルバム・タイトルである。ただし、マックス・ローチは、ブッカー・リトルのスタイルのルーツ「クリフォード・ブラウン」と双頭バンドを組んでいたドラマーである。
 

Booker_little_4_max_roach

 
ブッカー・リトルとしては初リーダー作では、ドラマーにそんな「マックス・ローチ」を採用したかったのだろうか。確かに、このアルバムでのローチのドラミングは効果的。リトルのトランペットを上手く鼓舞している。しかも、いつものように前面にしゃしゃり出てこない。これが不思議なんだが、クリフォード・ブラウンのバックで叩いている時のローチである。

恐らく、リトルのトランペットにクリフォードの面影を感じたんだろうなあ。確かに、この初リーダー作でのリトルのトランペットは、ウッカリ聴いていると、クリフォード・ブラウンか、と聴き間違いてしまいそうになるほど、その雰囲気は似ている、が、柔和で少しエッジの丸いトランペットのフレージングがリトルの個性。かつ音の芯が太い。

溌剌と吹きまくるブッカー・リトルが眩しい。初リーダー作なのでトラペットの音は若い。加えて「クリフォード・ブラウン」の陰をしっかりと背負っている。リトルの個性がまだ前面に出たブロウにはなっていないが、それでも、そこかしこにリトルの個性のフラグメンツを聴き取ることが出来る。

初リーダー作なんで、初々しい雰囲気が微笑ましい、温和しめの演奏で、ちょっと地味な印象のアルバムですが、リトルの個性を理解するには避けて通れない盤です。他のサイドメンにも恵まれ、初リーダー作としては及第点の好盤です。

 
 

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Never_giveup_4

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