音楽喫茶『松和』の昼下がり・44
ジャズの世界では「この人にこれ一枚だけ」という盤がある。そういう盤は決まって内容が良い。ジャズ喫茶でもジャズ者ベテランの方を中心にリクエストされることが多い。意外とこの「この人にこれ一枚だけ」という盤は人気盤となっている場合が多い。
Cal Massey『Blues to Coltrane』(写真左)。Cal Massey =「カル・マッセイ(カール・マジーとも)」と読むそうだ。カル・マッセイはトランペット奏者。コンポーザーとしては結構成果を残していて、ミュージシャンズ・チューンが結構残されています。
この『Blues to Coltrane』、カル・マッセイのリーダー作はこれ一枚のみ。つまり、カル・マッセイの「この人にこれ一枚だけ」という盤である。ちなみにパーソネルは、Jimmy Garrison (b), G.T.Hogan (ds), Julius Watkins (French Horn), Patti Bown (p), Hugh Brodie (ts), Cal Massey (tp)。1961年1月の録音。
この盤でのリーダー、カル・マッセイのトランペットは一級品。テクニックも一級、歌心も良好。なかなかに聴き応えのあるトランペット。ベースとドラムが重量級でシッカリしている。このベースとドラムがこのアルバムを一級品にしている。ピアノのパティ・ボウンは無名だがまずまず健闘している。
フロントの、何故これが入っているのか理解出来ないが「フレンチ・ホルン」と、可も無く不可も無い「テナーサックス」が弱いとされる。が、今回、改めて聴き直してみて、確かに弱いことは弱いが、耳につくほどでは無い。カル・マッセイのトランペットの彩り的な効果を醸し出していて、これはこれで良いかと。
なかなか文書で表現しにくいのですが、とっても良い雰囲気のトランペットです。端正で音に芯もしっかり入っていて、ブラスの響きも心地良く、全編、とっても気持ち良く聴き通してしまいます。取り立てて、どこがどう素晴らしいのか、表現しづらいのですが、ジャズ・トランペットを愛でるに相応しい好盤です。
上手さや凄さよりも「味」で聴かせてくれるアルバムだと思います。アルバム全体で、収録された曲全体で、その演奏の持つ「味」がこの盤の良さです。音も良くて、1960年代のジャズの音の雰囲気をしっかりと伝えてくれます。ジャズ喫茶の昼下がりに是非聴きたい好盤です。
震災から5年8ヶ月。決して忘れない。まだ5年8ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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