ヤン・ハマーという鍵盤奏者
風邪をひいて寝込んだ。このところ、季節が先に進んだ感じで寒い日が続いた。加えて、ちょっとだけ仕事で無理をした。この無理が積もって疲労感が広がったところで風邪をひいた。寝込みついでに寝ながらCDを聴く。日頃聴けないCDを聴きながら、とにかく風邪を追いやる。
このキーボード奏者を、僕は高校時代から、EL&Pのキース・エマーソン、YESのリック・ウェイクマンと同列に置いている。シンセサイザーの使い方も実に高度で、他のキーボードにも精通している。その実力はエマーソン、ウェイクマンと同等と評価している。
しかも、このキーボード奏者の奏でるフレーズは独特で相当に個性的。1曲聴くだけで「それ」と判るほどの強烈な個性で、エスニックな雰囲気、ワールドミュージック的に妙に捻れた音感が独特。逆に、このエスニックで捻れた音が駄目、というロック者の方々も多い。それほどに独特の個性を有している。
そのキーボード奏者とは「ヤン・ハマー(Jan Hammer)」。1948年生まれだから今年68歳。チェコ出身なので、この出身から個性的である。プラハの春をきっかけに渡米、これまた劇的である。
そして、1970年代前半、マハヴィシュヌ・オーケストラのキーボード担当として有名になる。僕がこのヤン・ハマーを知ったのは、ジェフ・ベックの『ワイヤード』への客演の時。僕はこの個性的なキーボード奏者に思わず「はまった」。
そんな個性的なキーボード奏者を体感するには、このアルバムがまずは最初だろう。Jan Hammer『Oh Yeah?』(写真左)。1976年のリリース。Jan Hammer Group名義のファースト盤である。ちょうど、ジェフ・ベックの『ワイヤード』に客演したり、その後のツアーを一緒に周っていた時期の作品である。
このアルバムを聴けば、ヤン・ハマーのキーボードの個性が全て体験出来る。エスニックな雰囲気、ワールドミュージック的に妙に捻れた音感、攻撃的なキーボード・ワーク。とにかく「ヤン・ハマー」節全開のアルバムである。
演奏全体の雰囲気は、1970年代前半、メンバーであったマハヴィシュヌ・オーケストラを踏襲してはいるが、マハヴィシュヌ・オーケストラの音世界よりもポップで判り易い。ヤン・ハマーのキーボードは、キーボードをフロントに据えてバンド・サウンドではあるが、その音は常に「アグレッシブ」。
特にシンセサイザーは思いっきり攻撃的。うっかり聴いていると、エレギの音と間違ってしまうくらい。そう言えば、どこかに「a Minimoog-Oberheim combination that sounds a lot like a Guitar」とクレジットされていた記憶が。ヤン・ハマーも意識していた様です。なんか「エレギなんかに負けるもんか」ってな感じで弾きまくっています。
このアメリカン・コミックの抜粋の様なジャケットに「ひいて」はいけません(笑)。ジャズロック、もしくはプログレのキーボードファンの方には一聴をお勧めします。僕は、このキーボードは好きです。
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