ミルトのプレスティッジ好盤 『Milt Jackson Quartet』
プレスティッジ・レーベルの聴き直しを始めた。プレスティッジ・レーベルとは、1949年にプロデューサーのボブ・ウェインストック(Bob Weinstock)によって設立されたアメリカ合衆国のジャズ・レコード会社。ブルーノート、リヴァーサイドと並んでモダン・ジャズ3大レーベルの一つである。
レーベルのオーナのボブ・ウェインストックはジャズをビジネスとしか捉えておらず、ブルーノートやリヴァーサイドの様な、アルバム制作に関してのポリシーが希薄。従って、アルバムの出来不出来は、録音時のジャズメンの志や調子に大きく左右され、内容的に素晴らしい好盤もあるが、とんでもない駄作も存在する。その辺りが聴き直しをする上でスリリングではある(笑)。
プレスティッジは、7000番台から7800番台までが主要なアルバム。多作ではある。とりあえず、まずは7000番台である。1954年〜1957年の録音が中心。ハードバップ初期からハードバップが隆盛を極めるまでの過程が聴ける。
今日の選盤は『Milt Jackson Quartet』(写真左)。PRLP7003番になる。1955年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Milt Jackson (vib), Horace Silver (p), Percy Heath (b), Connie Kay (ds)。プレスティッジにしては珍しく、単一日のセッションのみで構成されている。
単一日のセッション、固定されたカルテットメンバーのみの演奏で構成されているので、アルバム全体の音に統一感があって、アルバム全体の品位を高めている。1955年の録音。ミルト・ジャクソンが、モダン・ジャズ・カルテットの一員として本格的に活動する前の録音であり、ミルト・ジャクソンのヴァイブの本質と個性が良く判る内容になっている。
思いっきりファンキーなピアニスト、ホレス・シルバーがピアノを担当しているのが理由なのか、ミルト・ジャクソンのヴァイブは、ファンクネスを押さえた、適度に洗練された、透明度の高い音になっているのが面白い。ミルトはソロになるとファンクネスを放出するなんて言われることがあるが、それは時と場合によるのだろう。
総収録時間が30分ちょっとと収録時間が短いのが玉に瑕ではあるが、この盤には、若き日のミルト・ジャクソンの清々しく爽快なヴァイブが詰まっている。ミルトのヴァイブの個性を確かめ、楽しむには格好のアルバムである。
なんともチープなアルバム・ジャケットがこのアルバムの印象を平凡なものにしている。プレスティッジ・レーベルによくありがちな、やっつけ仕事なジャケット。いわゆる「ジャケ買い」が通用しないプレスティッジ・レーベルである。
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