ノルウェーを代表するドラマー
今日も「北欧ジャズ」の新盤を。Per Oddvar Johansen『Let's Dance』(写真左)。今年の新盤になる。ノルウェーはオスロ出身のドラマーがリーダー。ジャケットの雰囲気を見た瞬間、ECMレーベルの新盤か、と思ったら違った。
Per Oddvar Johansen=ペール・オッドヴァール・ヨハンセン、と読むらしい。ここではヨハンセンと呼びたい。ノルウェーのグラミー賞に相当するSpellemann 賞を六回受賞しているドラマーだそう。きっと、ノルウェーでは有名なジャズメンであるに違いない。1968年生まれで、今年48歳。中堅中の中堅である。
この盤も例に漏れず、北欧ジャズの基本をしっかりと押さえた内容になっている。透明感のある音とエコー。ファンクネス皆無。クラシック音楽に根ざした正統なフレーズ回し。スピリチュアル&エモーショナルのバランス取れた情感表現。決して熱くならない、冷徹に盛り上がるアブストラクトな表現。
アルバム全体に北欧ジャズ独特の「静謐感」が漂う。そして、曲によっては現代音楽からのエッセンスを反映したアブストラクトな演奏も織り込まれている。ロマンティックな音の側面はほとんど無い。当然、ファンクネスは皆無。切れ味の良い、ほどよくエコーのかかった、クールな楽器の音が「北欧やな〜」な感じを増幅する。
よくよく聴いていると、演奏の音がブワーッと横に縦に広がる雰囲気がある。ん〜っと思ってよくよく聴いてみると、ベースの音が聴こえない。パーソネルを確認すると、Per Oddvar Johansen (ds, vin, vib, g, perc), Helge Lien (p), Torben Snekkestad (sax, tp)。確かにベースレスの変則トリオ。効果的な多重録音もあって、北欧ジャズ独特の音世界を増幅させている。
音の響きは「北欧ジャズ」の基本をしっかりと踏まえてはいるが、収録された曲のイメージはバラエティに富んでいる。メランコリックなサウンドもあれば、壮大なオーケストレーションもあれば、はたまたフォーク調のナンバーまである。そんなバラエティに富んだ楽曲のバックで、ヨハンセンの柔軟度の高いドラミングが、しっかりと見事に音の底を支える。
北欧ジャズの個性の基本を十分に感じ取る事のできる好盤です。季節の良い春や秋に、じっくり腰を据えてリスニングに集中するのが最適だと思います。ながら聴きとか仕事のBGMには、ちょっと内容が硬派でシビアで合わないかな。現代の北欧ジャズの好盤としてお勧めの好盤です。
震災から5年7ヶ月。決して忘れない。まだ5年7ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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