音楽喫茶『松和』の昼下がり・36
これだけ暑くなると「純ジャズ」を聴くのがちょっと辛くなる。特にフリー・ジャズなどは「御法度」である。バテた身体がさらにバテそうになる(笑)。こういう盛夏の時は、我がバーチャル音楽喫茶「松和」では、無理せず、スムース・ジャズやAOR系のフュージョン・ジャズで「涼」を求めたりする。
そんな中、ケニーG(Kenny G)をかけることがあるんだが、この「ケニーG」という名前を聞くだけで、立腹するベテランジャズ者の方がいる。ケニーGと言えば、スムース・ジャズの代表的プレイヤーの一人。スムース・ジャズといえば「堕落したジャズ」と決めつけるジャズ者の方もいる。そんなに毛嫌いする必要は無いと思うんですが・・・。
暑い夏の昼下がり、涼しい部屋の中でかけるスムース・ジャズの一枚が、Kenny G『Duotones』(写真左)。1986年の作品。ケニーGの4枚目のリーダー作。硬派なジャズ者ベテランの方々が毛嫌いするケニーGの好盤である。聴けば判るのだが、意外と硬派なケニーGのサックスなのだ。
やはり冒頭の「What Does It Take (To Win Your Love)」の出来が良い。邦題は「愛の鼓動」。こういう邦題を付けてシングルカットして売り出すから、硬派なジャズ者ベテランの方々が毛嫌いするんだよな。ケニーGの演奏はなかなかのものなのに、こういうイメージで損をする。日本のレコード会社にありがちな話である。
フラットな気持ちで聴くと、この『Duotones』ってアルバム、なかなかの演奏が詰まった、なかなかの出来であることが良く判る。ケニーGのサックスからバックのリズム・セクションの演奏のレベルも高く、アルバムに収録された楽曲のアレンジも秀逸。良く出来たAOR系のフュージョン・ジャズであることが良く判る。いわゆる後の「スムース・ジャズ」である。
とにかく聴き心地が良い。耳当たりが抜群なのだ。それでいて、演奏内容はイージーに走らない。サックスのフレーズも時にアブストラクトにフリーキーにブレイクしたり、ガッツの入ったアドリブ・フレーズを展開したり、硬派で正統派な内容が見え隠れする、意外とホットな内容なアルバムなのだ。
それが、耳当たり良く、聴き心地が良いのだがから、やはり、これはプロデュースとアレンジが優れているでしょう。こういうジャズもやはりジャズ。音の傾向の好き嫌いがあるのは判りますが、ケニーGと聞くだけで「軟弱」とか「聴く価値無し」と一刀両断するのは如何なものかと。
まあ、そのスムース・ジャズのアルバムの内容が優れたものを選盤する必要はありますが、今年の様な酷暑の昼下がり、エアコンの効いた部屋の中で聴くスムース・ジャズはなかなかイケます。Kenny G『Duotones』はそんな中の一枚です。
震災から5年5ヶ月。決して忘れない。まだ5年5ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« ジャコの個性と凄みを再認識する | トップページ | 夏はボサノバ・ジャズ・その26 『Beach Samba』 »
« ジャコの個性と凄みを再認識する | トップページ | 夏はボサノバ・ジャズ・その26 『Beach Samba』 »
コメント