コールマンはレジェンドである
この歳になって、ジャズ界のベテラン、レジェンドと呼ばれるジャズメンのアルバムに触れることは意外と嬉しいものだ。昔、バリバリの若手〜中堅としてならしていた頃を思い出し、歳を経て余裕が出来、深みを増し、味わいを備えた演奏に触れると、いや〜良い感じで歳をとったねえ、となんだか嬉しくなるのだ。
このアルバムに出会った時もそんな感慨を抱いた。George Coleman『A Master Speaks』(写真左)。2015年11月の録音。ちなみにパーソネルは、George Coleman (ts), Mike Ledonne (p), Bob Cranshaw (b), George Coleman,Jr (ds), Peter Bernstein (g)。コールマン80歳の録音。
George Coleman(ジョージ・コールマン)と言えば、1935年生まれのジャズ・テナー奏者のレジェンド。今年で81歳になる。ハードバップ全盛期にデビュー。マイルス・デイヴィスのバンドの一員だったことで有名。ハービー・ハンコックとの録音も多く、特に、モード・ジャズが流行だった時代を中心に良いプレイの録音を残している。
さて、この昨年の最新作『A Master Speaks』であるが、これがとても良い出来なのだ。先ず第1に、コールマンのテナーがとても良い音で鳴っている。テクニックも堅実。端正な抑制の効いた素敵な音で鳴る。そして、スタンダード曲を中心に耳当たりの良い、聴き心地の良いブログが繰り広げられる。惜しむらくは、コールマンのテナーにかかるエコーが豊かすぎること。ちょっと下品に響くところが玉に瑕。
ドラムは、コールマンの息子らしいが、堅実にリズム&ビートを刻んでいる。初めての録音らしく、大向こうを張る派手なドラミングは無いが、堅実かつ端正なドラミングは合格点。加えて、もう一人のレジェンド、ベースのボブ・クランショウが、これまた良い音のベースを弾いていて、コールマンのテナーをがっちりサポートする。
ピアノのマイク・レドーンについて健闘している。ちょっと線の細いタッチとアドリブ・フレーズではあるが、堅実かつ誠実にバッキングを勤めているところは好感が持てる。そして、1曲だけだが、ギターのピーター・バーンスタインのさり気ないブルージーな演奏も聴き応えがある。
マイルス・バンドに在籍し、ハンコック達とモーダルなジャズを追求していた頃のプレイの印象だけで、揶揄されることの多いコールマンですが、僕にはそんな低評価が理解出来ませんでした。が、この最新作『A Master Speaks』を聴くにつけ、コールマンも第一線を張る、メジャー・テナーマンのひとりだったということを再認識します。
これだけ良い響きの音を出しながら、端正で抑制の効いたテナーを吹き上げる。このコールマンの力量たるや、決して侮れません。このアルバムで僕はコールマンを再認識しました。他のアルバムも聴き直してみたいと思いました。
震災から5年4ヶ月。決して忘れない。まだ5年4ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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