Brad Mehldau Trio の新作
ブラッド・メルドーは現代のジャズ・ピアニストのお気に入りの一人である。リーダー作デビューの頃からずっと聴き続けている。
もはや完全にジャズ・ピアノのスタイリストの一人だと思うんだが、ジャズ者ベテランの方々からはなぜか「受けが悪い」。意外と「ミュージシャンズ・ミュージシャン」なところがあって、プロのジャズメンにメルドーのフォロワーが多く存在する。
さて、今回リリースされたメルドーの最新作が、Brad Mehldau『Blues and Ballads』(写真左)。2012年のリリース『Ode』『Where Do You Start』以来久々、約4年ぶりのトリオ作になる。ちなみにパーソネルは、Brad Mehldau (p), Larry Grenadier (b), Jeff Ballard (ds)。録音日は、2012年12月と2014年5月に別れる。
録音日に2年の隔たりがあるとはいえ、このアルバムに収録された Brad Mehldau Trio の音は全く変わりが無い。それぞれの曲に Brad Mehldau Trio の個性が散りばめられていて、意外と聴き心地の良いアルバムに仕上がっている。
恐らく、アルバムの制作サイドからしても、2回の録音音源をアルバムに仕上げてみたら、意外と良い雰囲気、トリオの個性通りの音世界が表現出来たので、思い切ってリリースに踏み切った様な感じである。特別、何かにチャレンジした、とか、何かのトリビュートだとか、の特別な制作テーマは今回は無い。
逆にかえって、それが良い結果に繋がっているのではないだろうか。決してテクニックに走ること無く、何か特別な制作テーマに拘ることも無く、難しいことを考えずに、普通に心のおもむくままに演奏した、そんな感じのシンプルで優しい展開の演奏が詰まっています。
前作の4枚組ソロアルバムが、強烈なインパクトを与えた代物なので、どうも今回のトリオ盤は分が悪いみたい。しかも、ブルース&バラード集なので、エモーショナルな側面が欠けているとか、革新性に乏しいとか、俗っぽいとか、厳しい評価も多く聞かれるのが残念。
このトリオ盤、聴いてみたら判るんだが、Brad Mehldau Trio の音の個性がしっかりと押さえられていて、最近のトリオ盤の中でも「メルドー・トリオ入門盤」として、ジャズ者初心者の方々にお勧め出来る内容だと僕は思います。まずは自らの耳で聴いてみることをお勧めします。意外と良い感じですよ。
さあ、ブラッド・メルドーは次作はどこに行くのだろう。今回のトリオ盤は「踊り場で休憩」の様な穏やかな盤。ミュージシャンズ・ミュージシャン」なブラッド・メルドー。まだまだ目が(耳が)離せませんね。
震災から5年4ヶ月。決して忘れない。まだ5年4ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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