音楽活動60周年記念アルバム
この方は日本ジャズの至宝である。このアルバムを聴けばそれが良く判る。2011年のリリース。その方とは、栃木県出身。1951年に上京し、プロとして音楽活動を始める。1961年の初リーダーアルバムの発表から50年。1965年にボストンから帰国した後、日本のジャズの発展に大いに寄与、その後もブラジル音楽やアフリカ音楽等を取り入れ、常に新しい音楽の可能性を追究してきた。
その名は「渡辺貞夫」。愛称「ナベサダさん」。僕はジャズを聴き始めた頃、40年前からずっとナベサダさんのアルバムを聴いてきた。アルバムだけでは無い。当時、FMの番組「マイ・ディア・ライフ」も毎週、エアチェックしながら欠かさず聴いていた。歌心溢れるハート・ウォーミングなアルト・サックスが絶品なのだ。
そんなナベサダさんが、ニューヨークの新進気鋭のミュージシャンらと組んで、ストレート・アヘッドなジャズに回帰したアルバムがこれ。渡辺貞夫『Come Today』(写真左)。2011年6月の録音。ちなみにパーソネルは、渡辺貞夫 (as), Gerald Clayton (p), Ben Williams (b), Jonathan Blake (ds)。
清々しくも瑞々しい、ポジティブでシンプルなメインストリーム・ジャズが爽快である。モードやフリーなど、難しいことは考え無い、シンプルに「ネオ・ハードバップ」な演奏が繰り広げられている。若手ミュージシャン達も、そんな雰囲気に引き摺られて、シンプルで明快でストレートアヘッドな演奏を展開している。
このアルバムの録音時は、たしか78歳(!)。このしっかりと芯の入った、ブラスの輝く様な響きを振り撒く、力強いアルト・サックスの音色。これが78歳の出す音色なのか。なるほど、楽器を理想的に鳴らすことに必要なものって「若さ」や無いんやね。楽器を鳴らすってこと、奥が深いなあ。
アップテンポの演奏も良し、バラード演奏もしみじみと心に沁みて良し。バックのピアノ・トリオも若々しくて良し。このバックのピアノ・トリオ、シンプルで明確で流麗でダイナミックな展開がなかなかいけます。とにかく溌剌としているところが良い。ナベサダさんのアルト・サックスの雰囲気にピッタリです。
震災から5年4ヶ月。決して忘れない。まだ5年4ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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