ながら聴きのジャズも良い・6
何かをしながらの「ながら聴き」のジャズも「オツなもの」である。良い録音で流麗な演奏。そんな中、ちょっと印象的でキャッチャーなアドリブ・フレーズが耳を駆け抜ける。それでも「ながら」の邪魔をすることは無い。逆に「ながら」を支えるリズミカルで流れる様なジャズ。
今年5月リリースの最新作である。One for All『The Third Decade』(写真左)。ジャズ界の精鋭部隊が大集合。ちなみにパーソネルは、Jim Rotondi (tp, flh), Eric Alexander (ts), Steve Davis (tb), David Hazeltine (p), John Webber (b), Joe Farnsworth (ds)。
ニューヨークのライブハウス、Samllsで結成されたOne For All。1997年がデビュー作だったから、もうかれこれ10年位、活動していることになる。結成当時は「有望若手〜中堅が大集合」だったが、今では「充実した中堅〜ベテランが大集合」の様相。
音もデビュー当時は「ピッチピチな若さ溢れ、勢いある」演奏、今は「しっかりとツボを押さえた余裕ある」演奏。歳を重ねる毎に魅力がどんどん積み重ねられ、テクニックはどんどん高みに登っていく。成長と充実がしっかりと感じられるOne for Allの演奏は「ながら聴き」に最適。
ジャズのスタイルとしては「ネオ・ハードバップ」というか「ネオ・モード」である。モード・ジャズもここまで極めることが出来るんやなあ、と単純に感心する。凄く滑らかで朗々としたフレーズが心地良い。ハイテクニックであるが故に淀みの無いモードなアドリブが朗々と展開される。
とにかく耳に優しい。滑らかなアドリブ・フレーズが心に優しい。何かやりながら聴いていても、決して邪魔にならない。それでいて、印象的なフレーズや演奏テクニックが出たら、「おおっ」と感じて手を止める。そして、少し演奏に聴き入って、また、ながら聴きに戻る。そんなシチュエーションにぴったりの、実に高度な「ネオ・モード」なジャズです。
モード・ジャズと言えば、1950年代後半から1960年代前半に、マイルス・デイヴィスやビル・エバンスが中心に展開したジャズの演奏スタイルなので、進歩が無いと言えば進歩が無い。マイルスが生きていたら怒りそう(笑)。しかし、変化し続けるのもジャズだが、スタイルを維持し続けるのもジャズ。これはこれで立派な演奏である。
良いジャズです。ジャズ喫茶で、何気なく流して「ながら聴き」するのに良い「ネオ・モード」なジャズ。とにかく高度な演奏、流麗なジャズ。聴いていて心地良いことこの上無し。好盤です。
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