昼下がりSP・デュオ盤特集・10
なかなか、一気に温かくならない。しかも、スカッと晴れない。今日などは晴れないどころか、朝から雨。午後は台風の様な強い南風が吹き荒れて、どうにも天候に恵まれない今年の春の千葉県北西部地方。
しかし、そんな南風の強い、春雨の降る午後の昼下がり、風の音を聴きながら、静かな部屋の中で寛いでジャズを聴く。そんなシチュエーションにピッタリなジャズ盤を選ぶ。
小曽根真 & Gary Burton『Time Thread』(写真左)。2013年3月の録音。ピアノの小曽根、ヴァイブのバートン。師弟関係の二人の「究極のデュオ」である。この盤で、小曽根真 & Gary Burtonのデュオ盤は3枚目になる。
聴いて思う。やっぱりゲイリー・バートンのヴァイブは良いなあ。昔は、ジャズ・ヴァイブと言えば、ミルト・ジャクソン。というか、ミルト・ジャクソンしかいなかった。1960年年代の終わり、ゲイリー・バートンが登場。しかし、彼が演奏するジャズは「ジャズ・ロック」。日本では「際ものヴァイブ奏者」と看做された。
1970年代は、ECMレーベル中心にコンテンポラリーな純ジャズに落ち着き、チック・コリアと出会う。そして、このチック・コリアとのデュオが大当たり。現在まで、計7作のデュオ盤をリリースしている。
小曽根真のピアノのアイドルの一人がチック・コリア。このバートンとの『Time Thread』を聴いて、なるほどなあ、と思ってしまう。小曽根のピアノのフレーズって、どことなくチック・コリアの雰囲気が漂うのだ。といって、そっくりでは無い。チックのタッチよりはエッジが柔らかく丸い。チックの様な現代音楽チックな鋭角に切り立ったフレーズは無い。逆に親しみ易い滑らかなフレーズが実に優しい。
それでも、バートンのヴァイブとのデュオとなると、やっぱり「チック・コリア&ゲイリー・バートン」を彷彿とさせる。まあ、これは仕方ないか。似通ってはいるものの、しっかりと「小曽根真&ゲイリー・バートン」としての個性的な響きもあるので、これはこれで楽しめる。
解説を紐解けば「『Time Thread』の曲は、全て小曽根の手によるもので、師であるゲイリー・バートンとの思い出の中から、幾つかのシーンを切り取った、いわば「標題音楽」となっている」とのこと。ふ〜ん、そうなんだ。聴いていても、そういう難しいことを感じることは無い。作曲時のモチーフになった、ということだろう。
デュオ演奏について、バートンはこう語っているそうだ。「グループで演奏するということは、いわば座談会のパネラーになるようなもの。それがデュオの場合、まさにふたりだけの対談になる。音楽に置き換えると、ギミックなしの真剣勝負であり、私には最もエキサイトするセッティングであり続けている」。なるほど。
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