音楽喫茶『松和』の昼下がり・34
この明るい雰囲気ジャケットに惹かれた。なんだか、あっけらかんとした明るい雰囲気のジャケット。録音された時代は1967年。ヒッピー・ムーブメントのはしり。ジャケット・ロゴの雰囲気がそれを物語る。
演奏はジャケットの印象を決して裏切らない。ポップスのカバーを織り交ぜた、明るく爽やかな疾走感溢れる演奏。初夏の晴れた日、穏やかな昼下がり。爽やかな風に吹かれながら耳を傾ける。そんな情景にピッタリな僕の「お気に入り」。
Sonny Criss『Up,Up and Away』(写真左)。1967年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Sonny Criss (as), Cedar Walton (p), Tal Farlow (g), Bob Cranshaw (b), Lenny McBrowne (ds)。その音が期待できる、なかなかに渋いメンバーである。
クリスは1927年生まれ。録音当時は40歳。脂の乗り切った中堅ジャズメン。このアルバムには、ソニー・クリスの明るい面が、溢れんばかりに輝いている。このアルバムの録音時はクリスの体調が万全だったことが窺い知れる。クリスは精神面で不調の時期があった。1960年代前半、1970年代前半は不調の時代。このアルバムの録音時の1960年代後半は好調の時代。
冒頭の「Up, Up and Away」を聴けば、クリスのアルトの明るさ、爽快さを十分に聴き取ることが出来る。邦題「ビートでジャンプ」。フィフス・ディメンションのヒット曲のカバーなんだが、これが実に楽しい。テンション高く熱い演奏ながら爽快感抜群。頭のてっぺんから空へ突き抜けるような、爽快感溢れるアルトの伸びのある音色が実に良い。
ピアノを強打しまくるシダー・ウォルトン、タル・ファーロウのギター、ボブ・クランショウのベース、レニー・マクブラウンのドラムが乗り良く、爽やかに煽るようにがっちりとバッキング。このバッキングが思いのほか効いている。そんな安定感のあるバッキングを得て、クリスはアルトを吹きまくる。
他のスタンダード曲、バップ・チューンの演奏も良い。クリスって、基本は「バッパー」なんだなあ、と再認識する。5曲目の「Scrapple From The Apple」なんだどうだ。明らかに魅力的なバップな吹きっぷりの惚れ惚れする。2曲目のマイナー曲「Willow Weep for Me(柳よ泣いておくれ)」での泣きのアルトも魅力的だ。
このアルバムを録音した10年後。1977年に胃がんを発病して以来、ジャズから遠ざかる。そして、病苦に耐えかねた結果、同年ロサンゼルスで自殺して果てることになる。1970年代後半は好調な時代だっただけに残念な最期だった。
震災から5年1ヶ月。決して忘れない。まだ5年1ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« 最近ヘビロテな「スパイロ盤」 | トップページ | ながら聴きのジャズも良い・4 »
私はソニークリスといいますと、なんとなく連想してしまうのがチャールスマクファーソンだったりします。(~_~;)どちらも肩の力を抜いて楽しめるアルトですよね。^^
逆に私が「肩に力をいれて」「メイン装置で大音量で」よく聞くのは「フォーミュージシャンズオンリー」(ヴァーブ)なのですが、ガレスピー、ステット、ゲッツを「今いちピンとこない」という向きに聞いてもらうとほとんどが「納得!」といってくれたりしたアルバムでもあります。笑
クレフノーグラン~ヴァーヴのプロデューサーのノーマングランツは、よくぞまあ・・と思うくらの幾多の「ドリームセッション」?を残してくれたものだと思いますが、この盤などは代表的な1枚でもありますね。^^
ソニークリス、ポールデスモンドなどを聴いたあと、さらなるコアなジャズを聴きたくなるといつも手が伸びる1枚です。^^
投稿: おっちゃん | 2016年4月27日 (水曜日) 06時59分