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2016年3月15日 (火曜日)

理由不明のお蔵入り盤 『Africaine』

「なんで、このアルバムが当時、お蔵入りになったんやろう」。ブルーノートのLTシリーズのアルバムを聴く度に、毎度毎度、このつぶやきである(笑)。それほど、今の耳で聴くと、そのアルバムの良さが十分に感じることが出来るアルバムが満載のシリーズである。そんなブルーノートのLTシリーズの聴き直し、今日はこのアルバムを選択。

Art Blakey and The Jazz Messengers『Africaine』(写真)。1959年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Lee Morgan (tp), Jymie Merritt (b), Walter Davis, Jr. (p), Wayne Shorter (ts), Dizzy Reece (congas)。なぜか英国のトランペッターのディジー・リースがコンガを叩いている。

ウェイン・ショーターのジャズ・メッセンジャーズ初録音作品である。確かにこのアルバムの聴きものは、ウェイン・ショーターのテナー。アドリブ・フレーズがとても変わっている。フレーズが飛んだり跳ねたりで、明らかにコードがベースの流麗でテクニカルなフレーズでは無い。メロディアスでない分、実にストイックな響きが前面に出る。

そして、このアルバムのパーソネルの面白いところは、ピアノがウォルター・デイヴィスJr.であること。端正で硬質でシンプルな響きのピアノが個性のウォルター・デイヴィスJr.。ファンキー・ジャズの雄として売ってきたジャズ・メッセンジャーズにとっては「異質」のピアニストではないのか。
 

Africaine

 
トランペットのリー・モーガン、ベースのジミー・メリット、そしてリーダーの御大アート・ブレイキーの3人が変わらないのに、ピアノがウォルター・デイヴィスJr.に変わっただけで、当時のジャズ・メッセンジャーズの個性だったファンクネスがすっ飛んでいる。悪い意味ではない。端正で硬質な、モード・ジャズに対応可能なストイックな響きの音に仕上がっているのだ。

バンドにとって、ピアノが音作りの「鍵」をここまで握っているとは思わなかった。そんな端正で硬質な、モード・ジャズに対応可能なストイックな響きのバックに、フレーズが飛んだり跳ねたりで、明らかにコードがベースの流麗でテクニカルなフレーズでは無い「ショーターのテナー」がフロントで吹きまくるのだ。

逆に、ブレイキーのドラムが前面に出てこない。バッキングに回ったブレイキーのドラミングも素晴らしいのだが、ここでは主役でなければならない。そういう意味で、ストイックで硬質で端正なバンド・サウンドでは、ブレイキーのドラムが前に出にくい。加えて、リー・モーガンのトランペットもモーダルな雰囲気は似合わない。当時のジャズ・メッセンジャーズの音の個性としては、あまりにストイックで硬質で端正過ぎる。

今の耳で聴くと、これはこれで、ジャズ・メッセンジャーズとしてはユニークな響きが充満していて「アリ」だと思うのだが、ブルーノートの総帥、プロデューサーのアルフレッド・ライオンはそうは評価しなかった。当時のジャズ・メッセンジャーズの持つ音の個性を基に、「ウケる音楽」を前提に評価した結果だろう。う〜ん、ブルーノート恐るべし、である。
 
 
 
震災から5年。決して忘れない。まだ5年。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 
 

Never_giveup_4
 
  
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コメント

私はもちろんブルーノートレーベルも大好きですが、若い頃はむしろそのハイレベルな「金太郎飴」的?なブルーノートよりは、玉石混交のプレステッジやリバーサイドのほうが好きでした。(~o~)

ブレイキーの私の愛聴盤といいますと
1、オランピアライブ1959(フィリップス)
2、チュニジアの夜(RCA)マクリーン~グリフィン
3、プレイズラーナー&ロウ(RCA)
なのですが、これは主に選曲が私好みだからであります。笑

雑誌などではRCA時代のメッセンジャーズは「暗黒時代」?などと書かれていましたが、おそらくブルーノートと比較してのことだと思いますが、
私はまったく不思議に思っていました。^^v

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