そんな骨のあるジャズメン
1970年代は、歴史的に純ジャズが停滞し、純ジャズが1番落ち込んだ時代である。世の中のポップスはロックとR&B一色になり、ジャズはクロスオーバーからフュージョン・ジャズがメインになった。純ジャズは完全に過去の音楽になってしまった時代である。
それでも、骨のあるジャズメンは、そんな雰囲気そんな環境は何処吹く風、と純ジャズを演奏し、純ジャズを追求していた。つまりは、マイナーな存在になっても純ジャズは綿々と生きていた訳である。
そんな骨のあるジャズメンの一人が「Lee Konitz(リー・コニッツ)」。1970年代、コニッツはクロスオーバー・ジャズ、フュージョン・ジャズが流行となっても、決してなびかなかった骨のあるジャズメンの一人。クロスオーバー、フュージョン何処吹く風、と純ジャズなアルバムをコンスタントに発表している。
コニッツって骨のあるジャズメンだよなあ、と感心するアルバムがある。一枚は、Lee Konitz『Spirits』(写真左)。1971年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Lee Konitz (as), Ron Carter (b), Mousey Alexander (ds), Sal Mosca (p)。
レニー・トリスターノの弟子、リー・コニッツの師匠トリスターノへ捧げられた作品とのこと。Milestoneレーベルからのリリース。コニッツが久し振りに「クール・ジャズ」に力点を置いて演奏した企画盤です。選曲も骨のある選曲でスタンダードは一切なし。トリスターノの曲とトリスターノ風のコニッツの曲のみ。
ピアノのサル・モスカがトリスターノの瓜二つ、クール・ジャズなピアノを叩き出し、それに乗って、コニッツがクール・ジャズなアルトを吹き上げる。1950年代のクール・ジャズが戻って来たようです。
ただ、時は1970年代、コニッツは単純にクール・ジャズの再現をしている訳では無い。当時の新しい純ジャズの響きをしっかり織り込んで、1970年代のクール・ジャズを現出しています。その新しい純ジャズの響きを担っているのが、ベースのロン・カーターとドラムのムージー・アレキサンダー。
この単純にクール・ジャズの再現をしている訳で無いところが、コニッツの硬派なところ。生活の為に受けの良いウォームなハードバップを演奏するコニッツもいるが、心の底には骨のあるジャズメンのスピリッツがしっかりと息づいているのだ。そういうことを考えると、このアルバムのタイトル「Spirits」と言うのも、なかなか感じ入るタイトルだなあ、と感心する。
そんな骨のあるジャズメン、リー・コニッツの、1970年代純ジャズの好盤、1970年代の現役バリバリの純ジャズです。そんな骨のある純ジャズ盤なんですが、ジャケットの写真が愛らしい。ピアノの上の猫2匹、クール・ジャズの中にウォームなコニッツが佇むような、なかなかに意味深なジャケットですね。良いアルバムです。
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