ロイドの新盤は魅力的である
昨日、チャールス・ロイドのアルバム『Forest Flower』を聴き直したのには訳がある。今年の1月、ロイドの実に魅力的なアルバムがリリースされている。この新盤をちゃんと評価する為に、もう一度、久し振りに『Forest Flower』を聴き直したのだった。
その新盤とは、Charles Lloyd & The Marvels『I Long to See You』(写真左)。2015年4月の録音、2016年1月のリリース。チャールス・ロイドの注目の新クインテット「The Marvels」の第1弾作品である。
ちなみにパーソネルは、Charles Lloyd (ts,fl), Bill Frisell (g), Greg Leisz (pedal steel), Reuben Rogers (b), Eric Harland (ds)。ギターのビル・フリゼールが目を惹く。う〜んこれは、と思わず、身を乗り出す。ロイドとフリゼールとの組合せ。良いんやないか、これ。
『Forest Flower』では、米国ルーツ・ミュージックの様々な響きを織り交ぜた、ナチュラルな響き、モーダルな流れ、ファンクネスとは対極にある「フォーキー」な響きを宿したピアノ・トリオをバックに「判り易いコルトレーン」もしくは「こじんまりしたコルトレーン」を演じてきたロイドである。
しかし、今回のこの『I Long to See You』には、コルトレーンはいない。説得力のある、フォーキーなテナーのロイドだけがここにいる。今のロイドのテナーは実に魅力的だ。1960年代後半のロイドは、判り易い、人気のあるテナー・マンを演じた。しかし、今では演じる必要は無い。どころか、今のロイドのテナーそしてフルートは個性が際立って、実に魅力的だ。
そして、1960年代後半のキース・ジャレットを中心とした、バックのピアノ・トリオの代わりに、ナチュラルな響き、モーダルな流れ、ファンクネスとは対極にある「フォーキー」な響きを宿したバックバンド「The Marvels」をバックに、フォーキーでネーチャーなテナーを聴かせてくれる。
バックバンドの「The Marvels」が良い。フォーキーで米国ルーツ・ミュージックの融合を地で行くギタリスト、ビル・フリゼールが参入しているのだ。悪かろうはずがない。ナチュラルな響き、モーダルな流れ、ファンクネスとは対極にある「フォーキー」な響きを宿した1960年代後半のロイド・カルテットの音世界が、時を越えて、21世紀にクインテットに編成を変えて甦った。
米国ルーツ・ミュージックの様々な要素を反映している音世界に、これまたピッタリのボーカリストが2人、ゲストで参加している。ノラ・ジョーンズとウィリー・ネルソンがヴォーカルで1曲ずつ参加しているのだが、これがまた見事なのだ。このロイド・クインテットの音世界に、フォーキーで米国ルーツ・ミュージックの融合にピッタリのボーカル。
ロイドのテナーには、米国ルーツ・ミュージックの様々な響きを織り交ぜた、ナチュラルな響き、モーダルな流れ、ファンクネスとは対極にある「フォーキー」な響きが良く似合う。この新盤、そんな直感を確信に変えさせてくれる好盤である。
震災から5年。決して忘れない。まだ5年。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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