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2016年3月 9日 (水曜日)

双頭リーダーの革新性が際立つ

僕がジャズを聴き始めた頃、1970年代後半なんだが、ジャズはアーティスティックなジャンルの音楽として扱われていたように思う。単純ではあるが、譜面通りに演奏するクラシック音楽に相対する「即興演奏が命のジャズ」という図式が出来上がっていた。

それまでにリリースされたジャズ盤も、アーティスティックな香りがプンプン漂うものが多く、特に純ジャズはコマーシャルな音楽とは無縁の、発展する音楽、新しい響き、新しいトレンドを獲得していく「現在進行形」の音楽ジャンルとして捉えられていたように思う。

例えばこのアルバムを聴くとそんなことを思い出す。Elvin Jones & Richard Davis『Heavy Sounds』(写真)。1967年6月の録音。ジョン・コルトレーンが亡くなる1ヶ月前の録音。ちなみにパーソネルは、Elvin Jones (ds, g), Richard Davis (b), Frank Foster (ts), Billy Greene (p)。

このアルバムの雰囲気は「硬派」そして「アーティスティック」。黒く超重量級のポリリズムとグループが素晴らしいドラミングを誇るエルヴィン・ジョーンズと、これまた超重量級で黒い鋼の様に強靱なベース・ラインを弾き出すリチャード・デイヴィスの双頭リーダーのアルバムである。
 

Heavy_sounds

 
どの演奏も実にストイックでジャジーである。とにかく徹底的にメインストリームな純ジャズの演奏を追求している。1967年という時代のトレンドである、フリー系の展開、モーダルな展開、そして自由度溢れるインタープレイ。ジャズってアーティスティックである、と改めて感じさせてくれる演奏ばかりである。

ドラムとベースのデュオが尖っている。「Summertime」がとりわけ凄い。多彩なドラミングでベースのデイヴィスを鼓舞するエルヴィン。奥の手の「アルコ」を繰り出すデイヴィスは見事だ。タイトルどおり、エルヴィンとディヴィスがたたき出すヘビーなサウンドがとにかく「格好良い」。

ジャズが体育系のノリを保持していた頃の熱い純ジャズが、このアルバム『Heavy Sounds』にぎっしりと詰まっている。強靱な精神に則った、硬派でアーティスティックな純ジャズ。ベースとドラムのデュオ、そしてピアノレス・トリオの演奏にチャレンジしているところは、今の耳にも「革新的」。

エルヴィン・ジョーンズとリチャード・ディヴィスの革新性が際立つ好盤です。ジャケットの写真も実にジャジー。「煙草の煙と飛び散る汗」という熱いジャズを想起させる、このアルバム・ジャケットも見事。アルバムから出てくる音色を、これだけ見事に想起させてくれるジャケットは秀逸。
 
 
 
★震災から4年11ヶ月。決して忘れない。まだ4年11ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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