音楽喫茶『松和』の昼下がり・32
定期的にフリー系のジャズが聴きたくなる。バリバリフリーなジャズを聴く時もあるし、モーダルで限りなく自由度の高いアートなジャズを聴く時もある。ジャズ者初心者の頃は全く駄目だったが、今では結構いける。フリー系のジャズは面白い。
さて、今日選んだフリー系のジャズ盤は、Steve Lacy & Don Cherry『Evidence』(写真左)。1961年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Steve Lacy (ss), Don Cherry (tp), Carl Brown (b), Billy Higgins (ds) 。ピアノレス、ソプラノ・サックスとトランペットの2管フロント。実に野心的な実験的な布陣である。
収録された曲を見渡すと、ああこれはセロニアス・モンクの曲ばかりやなあ、ということが判る。スティーブ・レイシーの「モンク集」である。とまあ、よく見るとエリントンの曲が2曲、モンクの曲が4曲。でも、レイシーとチェリーの天然系インプロバイザーのフロントである。モンクの曲が良く似合う。
とにかく、どの曲でもモード的な展開をベースに、かなり自由度の高いインプロビゼーションを展開しているのだが、レイシーのソプラノもチェリーのトランペットもしなやかで滑らかなフレーズが湧き出るように続いて、フリー系のジャズなのに、とても聴き易い演奏に仕上がっているのがとても不思議である。
ドン・チェリーとビリー・ヒギンズは、オーネット系列のメンバーなんですが、この盤ではオーネット的な捻れたフリーキーなアドリブ・フレーズは全く出てきません。心のおもむくままに気分にまかせて吹き上げていく、そんな自然体なインプロビゼーションが魅力的です。
アルバム・ジャケットのデザインも、とってもジャズしていて秀逸。久し振りに聴いたんですが、フリー系なジャズなのに、不思議と聴き易いところが印象的でした。結構耳に馴染む、不思議な魅力を湛えた好盤です。ジャズ喫茶の昼下がりに、眠気覚ましの一枚に最適でしょう(笑)。
震災から4年11ヶ月。決して忘れない。まだ4年11ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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