これぞ、コンテンポラリーな純ジャズ 『Steps Ahead』
ヴァイブのマイク・マイニエリが「思いついた」グループ「ステップス(Steps)」。フュージョン・ジャズ全盛期、新鮮に響いた4ビート・ジャズ。
縦に揺れるスクエアな均等レベルの4ビートが印象的で、1980年初頭にして「コンテンポラリーな純ジャズ」。それでも困ったことに、メンバーの面子から、なぜか世間からは「アコースティックなフュージョン・ジャズ」の範疇として語られる。
1982年に「ステップス(Steps)」という名称がノース・カロライナ州のあるバンドによって商標登録されていることがわかり、それゆえバンドの名前を「ステップス・アヘッド(Steps Ahead)」に変えた。その新しい名前を冠したアルバムを1983年にリリースする。
『Steps Ahead』(写真左)。「ステップス(Steps)」から「ステップス・アヘッド(Steps Ahead)にバンド名を変えて、メンバーも少し変わった。Michael Brecker (ts), Mike Mainieri (vib), Eliane Elias (p), Eddie Gómez (b), Peter Erskine (ds)。ジャケットは男性4人が眠れる美女を抱えて運んでいる絵。新しいパーソネルをイメージする。
ピアノとドラムが代わった。簡単に言うと、縦に揺れるスクエアな均等レベルの4ビートが、アーシーでクロスオーバーでコンテンポラリーなドラミングに代わった。ピアノが、さらにリリカルに耽美的になり、しなやかさ躍動感が加わった。旧来の粘りのあるファンクネス溢れるオフビートでは無い、デジタルチックな水平で端正なオフビートが新しい。
久し振りに聴いてみて、やはり、マイケル・ブレッカーのテナーが素晴らしい。マイニエリも何時になく、熱くヴァイブを弾きまくる。マイニエリのヴァイブを感じるにも良い盤である。二人のフロントの奏でるアドリブ・ラインは新しい響きに満ちている。そして、イリアーヌのピアノの音もこれまた新鮮。
アコースティックな楽器の響きが良い。それでいて、1950年代から1960年代の旧来のジャズの響きは全く無い。クールでアーバンな響きが新しい。クロスオーバー・ジャズの範疇か、と思われる向きもあるが、そうでは無い。明らかに、この『Steps Ahead』に詰まった音は「コンテンポラリーな純ジャズ」。良いアルバムです。
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