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2016年2月 8日 (月曜日)

フェルドマンの初お目見え盤

米国西海岸ジャズは「粋」である。テクニック優秀、ほど良くアレンジされ、心地良いユニゾン&ハーモニー。歌心あって聴き易いテーマの演奏、インプロビゼーションはテクニックを駆使した確かな展開。日本では東海岸のジャズとは違って、意外と阻害されていた。僕がジャズを聴き始めた1970年代後半、米国西海岸ジャズのアルバムはほどんど見かけなかった。

そんな米国西海岸ジャズが日本の中で復権し始めたのは1980年代前半から。スイング・ジャーナル誌とのタイアップで米国西海岸ジャズのオムニバス盤が出た。それからである。それでも21世紀になった今でも、なかなか日本では米国西海岸ジャズの全貌には光が当たらない。そろそろ、その全貌を明らかにしないといかんと思うんだが如何だろう。

さて、そんな米国西海岸ジャズ、聴き心地が良くて、ハードなジャズの合間に必ず聴きたくなる。例えば、こんなアルバムがそんな存在である。Victor Feldman『The Arrival of Victor Feldman』(写真左)。1958年1月の録音。ちなみにパーソネルは、Victor Feldman (vib, p), Scott LaFaro (b), Stan Levey (ds)。

この盤のリーダー、ビクター・フェルドマンが面白い存在。フェルドマンは米国出身のジャズメンでは無い。もともとは英国生まれで、ロンドンで活躍したジャズメン。ロンドンで彼の個性は確立され、その後、米国西海岸にやってきた。そういうことで、フェルドマンは米国ジャズの洗礼を受けていない。
 

The_arrival_of_victor_feldman

 
このアルバムを聴けばそれが良く判る。米国のジャズ・ピアニストは、バド・パウエルから何らかの影響を受けているが、フェルドマンのピアノにはその形跡が無い。所謂、ビ・バップな節回しの影響が希薄なのだ。フェルドマンのヴァイブもそうだ。ミルト・ジャクソンの様なアーシーさは無く、どちらかと言えば、ファンクネスが希薄な白人ジャズの雰囲気に通じる。

そんなフェルドマンの歯切れの良いピアノが「米国西海岸ジャズ」である。ファンクネス希薄で切れ味の良いピアノとヴァイブ。ジャズと言うよりはクラシック出身な典雅な雰囲気。そんなピアノとヴァイブが、ほど良くアレンジされた米国西海岸ジャズに乗って展開する。これぞ米国西海岸ジャズと言っても良い雰囲気。

巷ではスコット・ラファロのベースを云々するが、確かに、太っとく鋼のように鳴る彼のベースは、フェルドマンのピアノ&ヴァイブに相対して、良いアクセントにはなっている。が、アルバム全体の雰囲気、これぞ米国西海岸ジャズと言っても良い雰囲気を担っているのはフェルドマンのピアノ&ヴァイブである。ラファロのベースはあくまで「脇役」である。

アルバム・ジャケットを見れば、今まさにフェルドマンがボートで海を渡って米国西海岸に到着しました、という感じのデザインが「お洒落」。英国人フェルドマンが米国西海岸に移り住んでジャズを奏でる。そんなフェルドマンが米国西海岸ジャズに合致した瞬間を捉えた、なかなかに聴き応えのあるアルバムである。

 
 

震災から4年10ヶ月。決して忘れない。まだ4年10ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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コメント

私もこのアルバムが大好きです。^^
巷間いわれる「ラファロを聞け」?もうなずけるほど、エバンストリオ以外でのラファロも聴きたい!と思わせてくれたアルバムでもありました。

そういえばエバンストリオのヴィレッジバンガードライブ作ですが、近年海外で新たにリマスター、リミックスされた2枚組は(お?NEWテープ発見か?)と思わせるくらい音がクリアで、ラファロやモチアンの音が鮮明になっていてしびれました。(~o~)

同じくマイルスの58年のトレーンの入ったニューポートライブ版も最近の海外盤では驚くほど音がよくなっていましたね。

個人的にはロリンズのヴィレッジバンガードライブの「擬似ステレオ盤復刻CD」などがでないかなあ?なんて思っています。^^
私が最初に買ったこの盤(輸入盤でした)が擬似ステ盤でしたが雰囲気があり好きでした。あとからオリジナルのモノ盤をきいて、違和感がありましたです。w

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