英国のクロスオーバーは面白い
ジャズはジャズばっかり聴いていても良く判らないところがある。そういう時は他の音楽ジャンルに「即興性」を重視した演奏が無いかどうかを探索すれば良い。他のジャンルの「即興性」を重視した演奏を聴くと、逆に「即興性」を重視したジャズが明確なスタイルを持って見えてくる。
ジャズは米国が起源の音楽である。即興演奏が特徴の一つ。加えて、他の音楽ジャンルとの融合が柔軟に出来るところが特徴の二つ目。1970年代は、ジャズとロックの融合が流行った。クロスオーバー・ジャズである。このクロスオーバー・ジャズって、米国では明確にジャズのトレンドなんだが、欧州、特に英国ではその境界線が実に曖昧である。
このクロスオーバー・ジャズという演奏トレンドを見てみると、英国ではジャズとロックの棲み分けが実に曖昧。というか、棲み分けが無い。ロック・ミュージシャンがジャズもやるし、ジャズ・ミュージシャンがロックをやる、ということが多々見受けられる。つまり、英国の場合、ジャズから聴き耳を立てるだけでは駄目で、ロックから聴き耳を立てることも必要になる。
例えば、ここにエレクトリックなインスト中心のアルバムがある。Brian Eno『Another Green World』(写真左)。1975年リリース。元Roxy Musicのブライアン・イーノのソロ3作目。聴いてみると直ぐに判るのだが、アンビエント志向の強い、クロスオーバーな音楽である。
冒頭の「Sky Saw」を聴けば、このアルバムのクロスオーバーっぽさが良く理解出来る。ノコギリで引き切るような、荒々しく激しく歪んだギター音がで始まる実験的な曲。ビートが後のテクノっぽく、従来のロックやジャズのリズム&ビートでは無い。即興性の雰囲気の色濃い演奏で、ボーカルも入るが、このボーカルですら楽器的な響きを宿していて実にクロスオーバーっぽい。
ボーカル入りのポップな曲はフュージョンっぽくもあるし、リズム&ビートの乗った楽曲は明らかにクロスオーバーっぽいエレクトリック・ミュージックだし、リズム&ビートが無い楽曲は明らかにクロスオーバーっぽいアンビエント・ミュージックである。
つまりは「ロックっぽくもあればジャズっぽくもあるエレクトリック・ミュージック」。ジャズとロックの棲み分けが実に曖昧な英国ならではの音楽的成果である。ただし、このアルバムの為にスタジオに集結したミュージシャンは英国ロック畑からの参入がほとんど。ロックが創るクロスオーバー・ミュージックである。
実にアートしていて、実にロックっぽく、実にジャズっぽい。英国には、こういうジャンル不明の即興性重視のエレクトリック・ミュージックが存在するのだ。英国のクロスオーバー・ミュージックは面白い。
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これ良いですよね
当然のように自分のiphoneに入っています
フリップのギターも素晴らしいし
一応レコード(LP)を聴く機会のない人のために
レコードではA面7曲B面7曲で、
かつボーカル入りの曲が対称になるように配置されています
CDになっちゃうと解らないですよね
投稿: kura | 2016年2月 6日 (土曜日) 00時02分
はじめまして。WEB検索してたどり着きました。
曲名がわからなくて困っています。アーチストもわかりません。
わかっている事は、当時私が高校3年生で、軽音楽部にいて、毎日片っ端かNHK FM クロスオーバーイレブンを録音していました。クロスオーバーにかなり精通しております。
この曲はその日の1曲目にかかった曲で、2曲めはボブジェームスです。
この曲が大好きです。おそらくリーダーはエレキギターです。後半のサビの部分、シンセサイザーのようなフレーズですが、間違いなくギターが奏でてます。
今YouTubeにアップしてあります。
https://www.youtube.com/watch?v=Ei0lfvpzWjk
もし、分かりましたらご返事をください。謝礼をします。
一生の思い出ですこの曲は。
島田
投稿: 島田 | 2020年5月 9日 (土曜日) 00時10分