ジャズ喫茶で流したい・76
米国西海岸ジャズって、やっぱり良いなあ。適度にアレンジされたハードバップ。ユニゾン&ハーモニーが小粋で美しく、インプロビゼーションもほど良くコントロールされ、決して、過度に熱くならない。「聴くジャズ」として十分に通用する内容に惚れ惚れする。
ということで、米国西海岸ジャズである。1950年代後半が米国西海岸ジャズが一番充実していた時代。この頃、米国西海岸ジャズといえば「コンテンポラリー・レーベル」だろう。コンテンポラリー・レーベルは米国西海岸ジャズの看板レーベル。コンテンポラリー・レーベルには、米国西海岸ジャズの良いところが沢山詰まっている。
例えば、このアルバムなんかどうだろう。Hampton Hawes『For Real!』(写真左)。1958年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Hampton Hawes (p), Harold Land (ts), Scott LaFaro (b), Frank Butler (ds)。早逝の天才ベーシスト、スコット・ラファロの名前が目を惹く。
ハンプトン・ホーズのピアノと言えば、オフビート感覚でもったりとした粘りがあって、跳ねるような弾くようなピアノが特徴。いわゆる「ビ・バップ」なピアノである。スタイルとしては、パウエル派の流れにある。が、この盤では、ハードバップの後期、新主流派に繋がる「思索的な響きとフレーズ」が見え隠れして、この盤でのホーズはなかなかに味わい深い。
スコット・ラファロのベースは太くて硬質。鋼の様にブンブン響くラファロのベースは、このアルバムの良きアクセント。この盤でのラファロは驚愕のテクニックを駆使した弾きまくりなベースでは無い。あくまで、演奏の底を支え、ビートを司るリズム・セクションとしてのベース。ピアノがバップなホーズなので、得意のインタープレイは棚上げである。
そして、この盤、意外とテナーのハロルド・ランドが良い。この盤でのランドは、アドリブ・フレーズにメリハリが付いて明確。ぼんやりとぼやけたところがない、ストレートで切れ味の良いテナー。こんなランドを聴ける盤ってなかなか無い。ランドって「吹ける」テナーマンやったんや、と改めて感心する。
フランク・バスターのドラムは他の3人ほどの個性は無く、淡々とリズムを刻む。大向こう張る派手さは無いが、これはこれで落ち着いていて「及第点」。出過ぎず、引っ込み過ぎず、趣味の良いポジションのドラムではある。
米国西海岸ジャズの歴史を揺るがす盤では無いのですが、聴けば聴くほどに味わいが出てくる好盤です。米国西海岸ジャズの良いところがギッシリと詰まったアルバムで、ジャズ喫茶にて、さりげなく「流し続ける」に最適な盤だと思います。
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