ドラムレス・トリオの音が新鮮
ベーシストがリーダーのアルバムが面白くて、まだまだその聴き直しは続く。ベーシストがリーダーと言えば、やはり「ロン・カーター」だろう。ジャズ・ベースのレジェンドの一人。1937年生まれなので今年79歳ですが、まだまだ意気軒昂。そのベース・プレイはしなやかで活力のあるもの。
そんなロン・カーターがリーダーで結成したバンドが「ゴールデン・ストライカー・トリオ」。パーソネルは、Donald Vega (p), Russell Malone (g), Ron Carter (b)。ギターとピアノとベース。ドラムレスのオールド・スタイルなピアノ・トリオ。21世紀の今、このドラムレス・トリオを主宰するロンの趣味の良さ。
そのゴールデン・ストライカー・トリオのライブ盤がある。Ron Carter Trio『Cocktails At The Cotton Club』(写真左)。邦題は「Live In Japan : コットンクラブでカクテルを」。まるでバブル時代の様な「歯の浮くような邦題」である(笑)。しかも、リリースするレーベルが日本の「サムシン・エルス」。
これだけ見れば、このアルバムって、日本のレーベルお得意の、売らんが為の「ベッタベタな純ジャズ基調の企画もの」という臭いがプンプンする。これはなあ、とちょっと触手が伸びない。リリースは2013年。このアルバムを手にするまで2年かかった。
さて、改めて、Ron Carter Trio『Cocktails At The Cotton Club』である。2012年12月14日、15日 丸の内コットンクラブにてライヴ録音になる。まず、録音が良い。左側がピアノ、右側にギター、正面手前からのベースと、音像がくっきりと浮かび上がる。
そして、しっかりと分離された音が渾然一体となって、耳に滑り込んでくる。臨場感溢れ、音がグッと迫ります。音が良いと言うことはライブ盤では必須の要素で、そういう意味ではこのライブ盤は合格。
加えて、ロンのベースの音が良い。まず、ロンのベースの長年の懸案であった「ピッチ」がバッチリと合っている。音程がしっかりしたロンのベース。これでこそ、ロンのベース・テクニックが映えるというもの。ベースの胴鳴りも心地良く、ロンのベースを心ゆくまで堪能することができる。
ギターは中堅どころの名手マローン、ピアノもこれまた中堅どころの名手ベガ。ロンは良いメンバーを選んだもんだ。テクニックは申し分無く「歌もの」が得意な二人、自らが唄う様に演奏することはもちろんのこと、ロンがソロを取った時のラッセルとベガのバッキング(歌伴)は絶妙である。これだけ、ベースのソロを唄わせることの出来るバッキング(歌伴)はなかなか他では聴けない。
「ベッタベタな純ジャズ基調の企画もの」ではないか、という警戒心が杞憂であることが明確になる、なかなか聴き応えのある内容です。選曲は思いっきりスタンダードものばかりなので、スリリングで革新的な展開は無いのですが、趣味の良い、切れ味の良い、ネオ・ハードバップなドラムレス・ピアノ・トリオの演奏を聴くことが出来ます。
全くジャズを知らない音楽ファンやジャズ者初心者の方々に向くかと思いきや、意外と、ジャズ者中堅からベテランの方々にお勧めしたい、メインストリームなジャズのライブ盤です。特に、ドラムレス・トリオの音が新鮮に響きます。好盤です。
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