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2015年10月19日 (月曜日)

昼下がりSP・デュオ盤特集・7 『1+1 - One And One』

ジャズ界のレジェンドの域に達したジャズメンの企画盤って、どうにも「胡散臭くて」いけない。本当に本気になって演奏してるのかなあ、適当にピラピラ弾いて「はいお終い」という感じではないのかなあ、なんて穿った見方をしてしまう。

Herbie Hancock & Wayne shorter『1+1 - One And One』(写真左)。このデュオ盤がリリースされた時もそんな感情を抱いた。1997年1月のリリースであった。どうにも胡散臭くて、全く触手が伸びなかったのを覚えている。

ということで、このデュオ盤に手を出したのはつい最近のことになる。やはり聴かず嫌いはいかんなあ、と思い直して手にしたのが半年ほど前。それでも暫く家で寝かしておいて、聴いたのはこの夏のこと。先入観というものは何時の時も邪魔である。

で、聴いてみて、あらビックリ。これがまあ素晴らしい内容ではないか。もともと、ハービーのピアノとウエインのサックスの相性が良いのは、マイルスのクインテットの時から判ってはいたが、これほどまで、見事なコラボレーションを発揮するとは思わなかった。

計算高いショーターもプロのプレイに徹しているし、ウエインの覇気に押されてハンコックも何時になく、素晴らしいモーダルなピアノを聴かせてくれる。そうそうこの盤では、ウエインはソプラノ・サックスに徹している。このソプラノの音色が美しいのなんのてって・・・。
 

Herbie_wayne_one_and_one

 
モーダルなジャズ演奏の好例でもあります。音が浮遊するように、たなびくように拡がって墨絵の様な音世界。ソプラノ・サックスとピアノが寄り添ったり、重なったり、別々に離れてその存在と個性を主張したり、硬軟自在、縦横無尽なデュオ演奏。

そんな演奏って、相当な力量とテクニックがあって出来ること。ハービー、ウエイン共にジャズ界のレジェンドの域に達したジャズ・ジャイアント。

そういうジャズメンが本気を出して気合いを入れて演奏すると、やはり凄いですね。若手ミュージシャンには到達することの出来ない、年齢を重ねた故の「余裕と陰影」を感じます。

この作品はその年のグラミー賞の最優秀作品賞に輝いています。その受賞についても、このデュオ盤を聴けば十分に納得できますね。ハービーとウエインの名を伏せても、この盤は十分に受賞対象になるでしょう

それほどまでにこのデュオ盤の内容は素晴らしい。久し振りに、聴かず嫌いだった自分を恥ずかしく思いました。

 
 

★震災から4年7ヶ月。決して忘れない。まだ4年7ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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