今後が楽しみなトランペッター
このアルバムの音を聴いた時、この時代に、こんなクラシック・モーダルな演奏をするジャズメンがいるんやなあ、と感心した。ほとんど、1960年代のアコースティック・マイルスである。
ジェレミー・ペルト(Jeremy Pelt)1976年11月生まれなので、今年で39歳。いわゆる「中堅」ジャズメンである。担当楽器はトランペット。その音はマイルス・デイヴィスの系列である。
さて、そんな1960年代のアコースティック・マイルスを彷彿とさせるアルバムが、Jeremy Pelt『November』(写真左)。2008年のリリース。ちなみにパーソネルは、Jeremy Pelt (tp), JD Allen (ts), Danny Grissett (p), Dwayne Burno (b), Gerald Cleaver (ds)。う〜ん、さすがにほとんど知らない(笑)。
音を聴けばズバリ、アコースティック・マイルス。マイルス者が聴けば必ず仰け反る、1960年代の黄金のクインテットの音にそっくり。最初聴いたら、絶対にマイルスだと勘違いする。でも、聴き続けていくと、マイルスにしてはマイルドでスムースな「まとまり」にちょっとした違和感を覚える。
さらに続けると、トランペットの音はマイルスに近いが、バックのリズム・セクションの音がちょっと違う。ピアノはハンコックらしいが、ベースのロンとドラムのトニーは「いない」。バックの音を聴いて、どうもこれはマイルスでは無い、と思い立つのだ。
でも、優れた芸術は模倣から始まる、というが、このペルトのアルバムを聴いていると確かにそう思う。この1960年代アコ・マイルスの音は、相当にテクニックが優秀で、様々な旋律を吹きこなせる「歌心」が無いと吹きこなせない。つまり、1960年代アコ・マイルスを踏襲出来るということは、これ、相当にいける「クチ」ですぞ。
正しく表現すると、1960年代のアコ・マイルスの音を踏襲はしているが、そっくりでは無い。マイルスの音は正統なジャズ、いわゆる「旧仮名遣い」の格調高い風情が個性なのだが、ペルトのマイルスっぽい音は、マイルスよりはマイルドでスムース。「新仮名遣い」のライトで判り易い風情が個性。
それでも、ペルトのブロウは揺らぎは無いし、ミストーンは皆無。アドリブ・トーンは流麗だし、ハイトーンの切れ味も良い。これからが実に楽しみなトランペッターであることを再認識した。暫く、注目して追いかけてみたい。
震災から4年7ヶ月。決して忘れない。まだ4年7ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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