« こんなアルバムあったんや・51 『Setting the Pace』 | トップページ | こういうテナーが渋くて良い »

2015年10月30日 (金曜日)

今後が楽しみなトランペッター

このアルバムの音を聴いた時、この時代に、こんなクラシック・モーダルな演奏をするジャズメンがいるんやなあ、と感心した。ほとんど、1960年代のアコースティック・マイルスである。

ジェレミー・ペルト(Jeremy Pelt)1976年11月生まれなので、今年で39歳。いわゆる「中堅」ジャズメンである。担当楽器はトランペット。その音はマイルス・デイヴィスの系列である。

さて、そんな1960年代のアコースティック・マイルスを彷彿とさせるアルバムが、Jeremy Pelt『November』(写真左)。2008年のリリース。ちなみにパーソネルは、Jeremy Pelt (tp), JD Allen (ts), Danny Grissett (p), Dwayne Burno (b), Gerald Cleaver (ds)。う〜ん、さすがにほとんど知らない(笑)。

音を聴けばズバリ、アコースティック・マイルス。マイルス者が聴けば必ず仰け反る、1960年代の黄金のクインテットの音にそっくり。最初聴いたら、絶対にマイルスだと勘違いする。でも、聴き続けていくと、マイルスにしてはマイルドでスムースな「まとまり」にちょっとした違和感を覚える。
 

Jeremy_pelt_nobember

 
さらに続けると、トランペットの音はマイルスに近いが、バックのリズム・セクションの音がちょっと違う。ピアノはハンコックらしいが、ベースのロンとドラムのトニーは「いない」。バックの音を聴いて、どうもこれはマイルスでは無い、と思い立つのだ。

でも、優れた芸術は模倣から始まる、というが、このペルトのアルバムを聴いていると確かにそう思う。この1960年代アコ・マイルスの音は、相当にテクニックが優秀で、様々な旋律を吹きこなせる「歌心」が無いと吹きこなせない。つまり、1960年代アコ・マイルスを踏襲出来るということは、これ、相当にいける「クチ」ですぞ。

正しく表現すると、1960年代のアコ・マイルスの音を踏襲はしているが、そっくりでは無い。マイルスの音は正統なジャズ、いわゆる「旧仮名遣い」の格調高い風情が個性なのだが、ペルトのマイルスっぽい音は、マイルスよりはマイルドでスムース。「新仮名遣い」のライトで判り易い風情が個性。

それでも、ペルトのブロウは揺らぎは無いし、ミストーンは皆無。アドリブ・トーンは流麗だし、ハイトーンの切れ味も良い。これからが実に楽しみなトランペッターであることを再認識した。暫く、注目して追いかけてみたい。

 
 

震災から4年7ヶ月。決して忘れない。まだ4年7ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« こんなアルバムあったんや・51 『Setting the Pace』 | トップページ | こういうテナーが渋くて良い »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 今後が楽しみなトランペッター:

« こんなアルバムあったんや・51 『Setting the Pace』 | トップページ | こういうテナーが渋くて良い »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー