日本の純ジャズのピークを捉える
1970年代、日本のメインストリーム・ジャズは充実していた。米国ジャズ至上主義のジャズ者の方々は「日本のジャズなんて米国の物真似さ」なんて言ったりするが、残された音源を聴き直してみると、かなり個性的な、日本人ならではの純ジャズが展開されていてビックリする。
今から約5年前に遡る。2010年11月30日のブログ(左をクリック)で「初めての日野皓正...」と題して、『Wheel Stone(車石)』というライブ盤をご紹介している。
実はこの『Wheel Stone(車石)』というライブ盤には続編がある。日野皓正『Wheel Stone Live in Nemoro Vol.2』(写真左)。1975年4月8日、北海道、根室市民会館にてライヴ録音の続編。ちなみにパーソネルは、日野晧正 (tp), 宮田英夫 (ts), 杉本喜代志 (g), 板橋文夫 (p), 岡田勉 (b), 日野元彦 (ds), 今村裕司 (per) 。
日野皓正の米国移住前のサヨナラ公演のライブ音源である。1975年の出来事。1970年代後半が、フュージョン・ジャズの大流行の時代であったことを考えると、この辺りが、日本のメインストリーム・ジャズのピークだった様な気がする。それほどに、このアルバムに詰まっている日本人ジャズメンのパフォーマンスは優れている。
『Wheel Stone(車石)』では、ビートを活かした、限りなくフリーではあるが、最低限のレベルで制御されたインプロビゼーション。マイルスの手法であるが、それを自分なりに解釈し、日本的な音楽的雰囲気をシッカリと活かした、類い希な「日本独自の」コンテンポラリーなジャズがここにある、と評しているが、この『Vol.2』も全く同様である。
とりわけ、リズム&ビートが、日本の「祭り」の太鼓のビートを彷彿とさせるものがあるし、テナーのフリーな吹き回しなど、雅楽の笙(しょう)、龍笛(りゅうてき)、篳篥(ひちりき)という雅楽三管に通じる響きが芳しい。
「スピーク・トゥ・ロンリネス」と「ラウンド・ミッドナイト」の2曲のみの演奏であるが、内容は充実し、メインストリーム・ジャズとして一級品である。日本のメインストリーム・ジャズの良いとこがこのライブ盤にギッシリと詰まっている。
Vol.1の『Wheel Stone(車石)』と併せて、連続して聴いて貰いたい『Wheel Stone Live in Nemoro Vol.2』。日野皓正の渡米直前の全国ツアーでの伝説的なプレイが堪能出来ます。
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