円熟「ビル・エヴァンスに捧ぐ」
こういう「ビル・エバンス・トリビュート」のライブ盤を聴くと、やはり、ジャズというのは、年齢と経験がものを言う音楽ジャンルやなあ、と思わず、思い返してしまう。
その「ビル・エバンス・トリビュート」のライブ盤とは、 Chick Corea, Eddie Gomez, Paul Motian『Further Explorations』(写真左)。2010年2月、NYCのブルーノートでのライブ録音。ちなみに改めてパーソネルを語ると、Chick Corea (p), Eddie Gomez (b), Paul Motian (ds)。
恐らく、ビル・エバンスの信頼を一番得ていたベーシストであるエディ・ゴメス。あのスコット・ラファロとの伝説のトリオを組んでいたポール・モチアン。そして、我らがチック・コリアのトリオ編成でのライブ・パフォーマンスである。
このライブ盤、CD2枚組のボリュームですが、これだけ「安定感」の溢れるピアノ・トリオの演奏もなかなかお耳にかかれない。ビル・エバンスにまつわる楽曲を中心に、ベテラン3人ならではの、思いっきり「安定感」溢れるパフォーマンスがとても素晴らしい。
3人3様、聴けば判るのだが、相当に高いテクニックを駆使しつつ、ビル・エバンス・トリオに参加していた時の演奏スタイルとフレーズをかましまくるゴメスとモチアンは、とっても「お茶目」。聴いている方もこれはこれで楽しいらしく大盛り上がり。
そこに、チックがチックらしい癖のあるフレーズで参戦する。「ビル・エバンス・トリビュート」な企画だからといって、ビル・エバンスの様に弾かないのがチックの真骨頂。どこから聴いても、チック・コリアである、というフレーズ、タッチを連発する。とってもチックらしいアプローチ。
これって「ビル・エバンス・トリビュート」やろ、と突っ込みたくなるが、よくよく聴いていると、音の響き、音の余韻、音の伸ばしがビル・エバンスっぽいのだ。なかなかニクいことやるなあ〜チック、と感心する。ピアノの雰囲気は明らかにチックなんだが、通常のチックよりも少し温和で優しい雰囲気が「ビル・エバンス・トリビュート」なのだ。
「円熟」そして「安定」という言葉がピッタリのトリオ演奏。破綻などは全く無い。でも、そこかしこに「冒険心」が溢れていて、旧来のアプローチを出来る限り排除して、新しいイメージを紡ぎ出そうとしている雰囲気が強く伝わってくる。和気あいあいとしている中に、真剣勝負っぽい適度なテンションも張っていて、聴き応えのあるライブ盤に仕上がっている。
うっかり聴いていると、あまりにオーソドックスなピアノ・トリオの演奏が故に、どこが優れているの、と誤解してしまうが、しっかり聴くと、このライブ盤の内容って「只者では無い」ことに気が付く。これだけのピアノ・トリオ演奏について、追従出来るジャズメンって、一体どれだけいるんだろう。
★震災から4年6ヶ月。決して忘れない。まだ4年6ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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