ビ・バップなデックスです 『Dexter Rides Again』
デクスター・ゴードン(Dexter Gordon)。愛称デックス。彼のリーダー作『Dexter Blows Hot and Cool』を昨日、ご紹介したのだが、このアルバムが出てきたら、この初リーダー作も出てくる(笑)。Dexter Gordon『Dexter Rides Again』(写真左)。
この『Dexter Rides Again』は、ジャズ盤の紹介本でもデクスターの代表作の一枚として度々登場する。でも、1945年から1947年の間の録音なので、明らかに音は良くない。ノイズはパチパチ入っているし、音のレンジは狭い。それでも、デックスのテナーの大らかさはバッチリ伝わってくるのだから、デックスのテナーは凄い。
1945年から1947年の間というと、ジャズの演奏のトレンドは「ビ・バップ」。この『Dexter Rides Again』もビ・バップの演奏が詰まっている。収録曲はどれもが2〜3分の演奏。その短い演奏の中に、キラッと光る様なアドリブフレーズ、オッと身を乗り出すような節回しが聴いて取れる。よくよく聴いていると、どうも数曲単位でパーソネルが変わっている様な感じがする。ということで調べてみると、
Tracks 1-3, December 11, 1947.
Leo Parker - baritone saxophone
Tadd Dameron - piano
Curly Russell - bass
Art Blakey - drums
Tracks 4-7, January 29, 1946.
Leonard Hawkins - trumpet
Bud Powell - piano
Curly Russell - bass
Max Roach - drums
Tracks 8-11, October 30, 1945.
Sadik Hakim - piano
Gene Ramey - bass
Ed Nicholson - drums
当然、テナーは全編に渡ってデックスなんだが、サイドメンの中では、特にピアノに注目である。冒頭から1曲目から3曲目は、タッド・ダメロン、4曲目から7曲目は、バド・パウエル。8曲目から11曲目は、サディク・ハキム。いずれも、ビ・バップを代表するピアニストがズラリ。特に、バド・パウエルのピアノが好調。
ドラムも注目に値する。1曲目から3曲目は、アート・ブレイキー、4曲目から7曲目は、マックス・ローチ。8曲目から11曲目は、エド・ニコルソン。ビ・バップにおいては、リズム&ビートの刻みが実に重要なんだが、なるほど、パーソネルを見ると、このアルバムの優秀な理由が良く判る。
デックスのテナーは大らかでストレート。決して、オールド・スタイルと呼ばれる音の出し方では無い。後続のソニー・ロリンズやジョン・コルトレーンのブロウに繋がるストレートさ。加えて、ワイドな展開、余裕あるブロウ。決して、ビ・バップに染まらない、デックス独特のテナーがここにある。
ジャズ者初心者の方々は、明らかに音は良くないので、敢えてこのアルバムは聴かなくても良いかと思います。音の悪い演奏を聴くのは、初心者にとっては辛いもの。無理はしないで下さい。ジャズ者中級者以上の方々にはお勧め。一度は聴いてみる必要はあるでしょう。ビ・バップの良い演奏を聴くことが出来る好盤です。
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