ジャズ喫茶で流したい・68
ヴァイブの音が好きだ。幼稚園の頃からヴァイブが好きで、実は結構弾けたりする。ヴァイブと言えば、ミルト・ジャクソンで決まり、なんだが、これが中々、ジャズを聴き進めて行くと、ジャズ・ヴァイブも奥が深い。
例えば、レム・ウィンチェスター(Lem Winchester)。1958年、ジャズ・シーンに登場し、その新しい響きを宿したヴァイブは魅力的。しかし、さあこれから、と言う時に、ロシアン・ルーレットによる拳銃事故で、わずか3年程度の活動期間だけで鬼籍に入ってしまいました。なんと不運なヴァイブ奏者であることか。
わずか3年の活動期間ですから、レム・ウィンチェスターがヴァイブを演奏した音源はかなり限られていて、その個性や特徴が理解出来る機会が少ない訳ですが、このアルバムがあってラッキーと言えばラッキーでしょう。このアルバムはなかなか良いですよ。そのアルバムとは・・・。
Lem Winchester『Another Opus』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Frank Wess (fl), Lem Winchester (vib), Hank Jones (p), Eddie Jones (b), Gus Johnson (ds)。1960年6月の録音。フランク・ウエスのフルートとハンク・ジョーンズのピアノの存在が目を惹く。
そう言えば、ドラム以外は、ミルト・ジャクソンの名盤『Opus De Jazz』と同じ。ちなみにドラマーがガス・ジョンソンなのは、『Opus De Jazz』でドラマーを勤めたケニー・クラークが、とうの昔にヨーロッパに渡ってしまっていたから、とのこと。なるほど。
さて、タイトルからして、ミルト・ジャクソンの名盤『Opus De Jazz』をバリバリに意識しているのが「みえみえ」で、実に微笑ましいですね。ウィンチェスターのヴァイブは明らかにミルトの影響を受けているのですが、シンプルで粘りの無い、あっさりとして硬質な音が個性です。テクニックはミルトと同等。粘りがあるのがミルト、あっさりとシンプルで硬質なのがウィンチェスター。
収録されたどの曲でも、実に気持ちよさそうに、爽快感溢れるヴァイブのソロを聴かせてくれます。本当に早逝が悔やまれますね。もっと生きていれば、結構な量の好盤を量産したんやないですかね〜。十分にウィンチェスターのヴァイブの個性が確立されていたことが理解出来ます。
それから、このアルバムでは、フランク・ウエスのフルートが秀逸。実にエモーショナルでありながら、滑らかでメロディアスなフルートを聴かせてくれます。ほわっとラウンドのある爽やかなフルートの音の塊が、あっさりとシンプルで硬質なウィンチェスターのヴァイブと相まって、実にイマジネーション溢れる音世界を創り上げています。
ハンク・ジョーンズの燻し銀ピアノのバッキングも味があって心地良い。前へでしゃばることは決して無いが、それでいて、要所要所での存在感は抜群。ジャズでの存在感は音の大きさやないね。粋なフレーズ、粋なタッチやね。
サイドメンのサポートも溌剌としていて良好、レム・ウィンチェスターのヴァイブの素性の良さが楽しめる好盤です。レム・ウィンチェスターのヴァイブに触れ愛でるのに一番相応しい好盤でしょう。
★震災から4年7ヶ月。決して忘れない。まだ4年7ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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