昼下がりSP・デュオ盤特集・6
ギターのアルバムは爽快感があって良い。爽快感を前面に押し出したジャズ・ギターのアルバムを楽しむ季節は秋から冬。ギターの種類はアコースティック・ギターが良い。
オーストラリア出身のグリゴリアン・ブラザーズによるアコースティック・ギター・デュオによるアルバムがある。さて、グリゴリアン・ブラザーズとは何か。
スラヴァとレオナルドの兄弟。兄のスラヴァ・グリコリアンのほうはクラシック作品などで以前から日本でもリリースされている。クラシックを中心にジャンルを超えて活躍するギター・デュオである。
そんな兄弟のアコースティック・ギターによるデュオ盤の好盤が、Grigoryan Brothers『Distance』(写真左)。2010年のリリース。雰囲気は内容、ジャケットを併せて、ECMレーベルの音の雰囲気である。ジャケットを見て、このアルバムの音を聴いたら、恐らく、ジャズ者の方々は絶対にECMものだと思うだろう。
そんなアコギが素敵なデュオ盤であるが、このアコギの音を聴いていて、どっかで聴いた音の雰囲気だよな〜、と思い当たる。そう、デュオではないのだが、Ralph Towner『Diary』(2013年5月4日のブログ・左をクリック)の音世界と同じ雰囲気なのだ。
う〜ん、ジャケットも何と無く似ているし、もしかしたら、グレゴリアン・ブラザースは、このラルフ・タウナーのアルバムを十分に意識しているのかもしれない。
クラシックな響きが中心かと思いきや、意外とクラシックな響きは感じない。やはり、どちらかと言えば、ECMレーベル様な、現代音楽的な雰囲気を宿しつつリリカルな欧州ジャズの雰囲気。ジャズ出身では無い分、ビートの取り方がやや大人しいが、基本的にはビートがしっかり乗ったギター・デュオで、演奏の印象はジャズ。
テクニック的には全く申し分無く、音の組み立て、そして、即興の部分、アドリブな展開をとっても、ジャズと言って良い。爽快感と躍動感、リリカルでロマンティックな表現、静謐でクリスタルな音の響きなど、アコースティック・ギターの表現の全てを引き出していて、聴き応え満点です。
ジャズのジャンルのギター・デュオでは無いが、クラシックの世界でも、現代においては、こういうジャズ的な即興演奏をベースとする演奏が出てきたということだろう。ジャンル無用の「良い音楽」ですね。
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