ドラマーがリーダーの盤って
ドラマーがリーダーのアルバムは再生装置を選ぶ。リーダーがドラマーだと当然ドラミングがメインの録音になる。ドラミングがメインだと、併せて、ベース・ラインのアシストが必要になる。ドラムとベースの音の再生となると、ある程度のレベルのオーディオ装置が必要になる。
僕がジャズを聴き始めた40年ほど前、ドラムとベースの音を再生するには、相当ハイレベルのオーディオ装置が必要だった。 いわゆる「さんきゅっぱ」や「よんきゅっぱ」のアンプでは太刀打ち出来ない。ドラムの多彩な音色、多彩な低音、多彩なアタック音、どれをとっても、安いアンプでは良い再生は出来なかった。
よって、ドラマーがリーダーのアルバムについては、ジャズ喫茶で聴こうと思い立つ。40年前、ジャズ喫茶の看板を掲げた喫茶店は、どこも再生装置は超一流だった。ドラマーがリーダーのアルバムを聴くにはジャズ喫茶が最適だった。
そういう環境の下、ジャズ喫茶でリクエストしたいアルバムの一枚がこのアルバムだった。Elvin Jones & Richard Davis『Heavy Sounds』(写真)。「ポリリズムの重戦車」エルビン・ジョーンズ、と「重低音のしなやかベース」リチャード・デイヴィスの二人の双頭リーダーのアルバム。1967年6月の録音。
ちなみにパーソネルは、Elvin Jones (ds, g), Richard Davis (b), Frank Foster (ts), Billy Greene (p)。テナー・サックスとピアノは無名に近いメンバー。
まあ、このアルバムは、双頭リーダーの二人、エルビン・ジョーンズのドラムとリチャード・デイヴィスのベースを聴くべきアルバムなので、ピアノとテナーはこの際、無名でもいざ仕方なしである。
確かに、このアルバム、ドラムがメインである。エルビン・ジョーンズの多彩な音色、多彩な低音、多彩なアタック音、惚れ惚れするばかりのポリリズム。とにかく音が生々しい。このドラムの音は再生装置をシビアに選ぶ。
併せて、リチャード・デイヴィスのベースもエルビンのドラムに追従する。リチャード・デイヴィス独特の重心の低い塊の様な重低音、ブンブン鋼の様にしなやかに弾けるように鳴る弦の音。これまた、音が生々しい。このベースの音も再生装置をシビアに選ぶ。
しかも、このアルバム、アルバム・ジャケットのエルビン・ジョーンズとリチャード・デイヴィスの横顔がこれまた良い。黒が基調、印象的な限りなく白黒の世界、煙草をくゆらせ、もうもうと煙草の煙が漂うなか、味のある横顔のエルビン・ジョーンズとリチャード・デイヴィス。このジャケットは限りなくジャズを感じさせてくれる。
このアルバムは、当時、ジャズ喫茶で良くリクエストしましたね〜。このアルバムをリクエストすると、決まってジャズ喫茶のマスターはニンマリしてくれました。確かに、ジャズ喫茶好みのアルバムでもありますね。
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「ドラマーがリーダーの盤って」の「おっちゃん版」?ですいません。笑
私がジャズを聞き始めた頃、はじめてピアノトリオの醍醐味を教えてくれたのは、当時廉価版で発売されたレイブライアントの「コンアルマ」(CBS盤)でした。
レイのダイナミックでスインギーなフレーズに夢中になり、それからレイのアルバムを追いかけていって知ったのがドラマーのパパジョージョーンズ名義の「ジョージョーンズトリオ」(エヴェレスト盤)でした。実質的にはレイブライアントトリオのような盤ですが、この盤はジョージョーンズの至芸もご機嫌で、今でも愛聴盤です。
同じエヴェレスト盤にもう1枚ある「ジョージョーンズプラス2」もレイの参加で楽しめますが、なんとかCDで出てほしいものであります。
また、1970年の半ばくらいに国内版で出た「ジョージョーンズ ドラマー
」(フィリップス)という幻の2枚組LPでは、歴代の名ドラマーのスタイルをジョーがドラムだけで解説付きで再演してみせるという貴重なLPでした。
私はこれではじめて伝説の「左手のみの片手ロール」というわざをしりました。ま、これはCD化はまずのぞめませんが、ドラマーを目指す人にはよい資料かもです。笑
投稿: おっちゃん | 2017年8月26日 (土曜日) 02時56分
すいません。↑の「ジョージョーンズトリオプラス2」はヴァンガードレーベルでした。
それにしても、レイとパパジョーはとても相性がいいですね。笑
投稿: おっちゃん | 2017年8月26日 (土曜日) 10時17分
今日はじめてこのサイトに出会いました。実に深く聞き込んだエッセイばかりで、あれ、なんでこんなジャズ喫茶今まで誰も教えてくれなかったん、という気分です。これからも拝読しますので、よろしく。
Heavy Soundsは当時ジャズ喫茶でよくかかっていて懐かしい限りです。当時の第一印象はElvinがColtraneバンドの呪縛から開放された演奏なんてもの。当たってないかも知れませんが。
ちょっと引っかかるところがあります。ピアニストは僕も知らないひとですが、テナーのFrank Fosterも”無名”と言われては困ります。たしかにColtrane Rollinsほどの知名度はありませんが、たしかCount Basie楽団のコンサートマスターを長年つとめていたし(マスターはビッグバンドがあまりお好きでないのかな)、ピアノのElmo Hopeと一緒の録音がいくつかあるようです。
因みにHope meets Foster(Prestige)は僕の愛聴盤です。Lester Young風のソロを Coleman Hawkins風の豪放なトーンで吹くとでもいいましょうか、その中間派的な性格が災いなのかもうひとつ人気がないようです。
もうひとつ、PrestigeのAll Day LongというLPも彼の本領発揮レコードと思います。ついでにAll Morning LongはColtraneがテナーです((名義は多分 Red Garlandだった)。
破滅型が多いジャズメンの中で、彼はまじめ人間だったらしく(薬物やアルコール)、つい数年前に没するまでまで病気と闘いながらではありますが音楽活動を続けていたようです。
どうか暇があったらFrank Fosterを聴きなおしてみてくだされば幸いです。
投稿: シーゲル | 2017年9月16日 (土曜日) 02時27分