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2015年9月10日 (木曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・47 『Standards Live』

そろそろ僕は、このピアノ・トリオとしっかり対峙し、しっかりとした結論を出さなければならない、と思っている。そうしないと、しっかりとした結論を出さない間に、あの世に行ってしまいそうな気がする。

初めて聴いたのが1983年。社会人2年生の時。とても忙しい中、この人のピアノ・トリオはしっかりと着目し、しっかり聴き込んだ。そのピアノ・トリオとは「キース・ジャレットのスタンダーズ・トリオ」である。メンバー構成は、Keith Jarrett (p), Jack DeJohnette (ds), Gary Peacock (b)。

それまでのメインストリーム・ジャズの歴史の中には、全く無い「トリオの音」。ほとんどファンクネスを感じる事無く、クラシック・ピアノの様な、カッチリとしたクリスタルな流麗なピアノのフレーズ。その流麗なピアノを損なうこと無く、これまたカッチリとした破綻の無いモーダルなリズム&ビート。

恐らく、キースは、自らが伝説となった時、自らのスタイルがピアノ・トリオのスタンダードなスタイルとなることを強く望んだのだろう。唯一無二、誰かのフォローを想起させるような音は全て排除し、キースの出す音が「キースのスタイル」であり「ピアノ・トリオのスタンダードなスタイル」。

そのキースならではの、キースしか弾かない「キースのピアノ・トリオのスタイル」を強く感じさせてくれるライブ盤がある。そのライブ盤とは、Keith Jarrett『Standards Live』(写真左)。1985年7月の録音。スタンダーズ・トリオの初のライブ音源である。
 

Standards_live

 

冒頭の「Stella by Starlight」と3曲目の「Falling in Love with Love」を聴けば、そのキースならではの、キースしか弾かない「キースのピアノ・トリオのスタイル」が良く理解出来る。クラシック・ピアノの様な、カッチリとしたクリスタルな流麗なピアノのフレーズ。リリシズムの塊である。

この超スタンダードな2曲を聴けば、キースはナルシストだと感じる。自らのピアノ・トリオ演奏に聴き入り、感じ入り、恍惚とするキースの様子が見え隠れする。キースは自らのピアノが美しいと感じ、自らのフレーズが美しいと思い、自らの唸り声ですらセクシーだと感じる。キースには、自らのピアノ・トリオだけが最高であり、美しい存在なのだ。

キースが考案し、キースの美意識を強く反映し、美意識を形にしたものが、このスタンダーズ・トリオの音なのだ。しかも、スタンダード曲を演奏するピアノ・トリオとして、リーダーの位置づけを自認している。それが証拠に、聴いたことも無い「スタンダード曲」を発掘し、キースのスタンダーズ・トリオだけが演奏する。

ジャズの歴史の中で、このキースのスタンダーズ・トリオだけが突出した「孤高の存在」である。前にも後にもフォローしたり、フォローされたりすることは無い。というか、フォローしたり、フォローされたりすることを絶対に否定する。誰が何と言っても「絶対に否定する」。キースのとっては、このキースの美意識の塊のスタンダーズ・トリオは「孤高の存在」でなければならないのだ。

このKeith Jarrett『Standards Live』は、先ずはスタンダーズ・トリオの代表作の一枚。先ずは、このライブ盤を聴きながら、キースの考える、キースの美意識の塊であるスタンダーズ・トリオを体感し、実感するのだ。
 
 
 
★震災から4年6ヶ月。決して忘れない。まだ4年6ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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