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2015年9月 3日 (木曜日)

ドラマーがリーダーの盤って・3

ジャズ・ドラマーって、バックに控えて、しっかりとバンド全体の演奏を支えるって役割があるので、そういう意味では、バンドのリーダーとしての役割がピッタリと当てはまる、と言って良い。

その一番の好例が、アート・ブレイキー(Art Blakey)だろう。ジャズ・メッセンジャーズを率いるリーダーであり、このメッセンジャーズを母体に、若手の有望株を育てていくという「道場」の様な役割を果たしている。なるほど。バンドのリーダーとしての役割がピッタリである。

そのアート・ブレイキーの役割にあやかろうとしたのか、第2のアート・ブレイキーになろうとしたのか、1970年代後半から1980年代初頭におけるジャック・デジョネット(Jack DeJohnette)のリーダー作には、そんな雰囲気が見え隠れする。

とにかく、デジョネットはバンドを組みたがった。ギタリストのジョン・アバークロンビーと組み、ディレクションズ、ニュー・ディレクションズの2つのグループで活動し、レスター・ボウイ、ディヴィッド・マレイらとのスペシャル・エディション、どれもが、当時の隠れた有望株のメンバーをピックアップしてのバンド運営だった。

でも、長続きしないんですよね〜。基本的にポップな純ジャズ路線をとること無く、限りなくフリーな当時最先端の純ジャズ路線を採用したので、大衆には受けなかったことが大きな理由だろう。フリーが大好き、モードが大好き、というマニアックなジャズ者には受けに受けたが、それはごく一部のジャズ好きに過ぎなかった。
 

New_directions

 
でも、演奏する音の内容は素晴らしいものがありましたね。例えば、このJack DeJohnette『New Directions』(写真左)などはその好例でしょう。1978年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Jack DeJohnette (ds, p), John Abercrombie (g), Lester Bowie (tp), Eddie Gómez (b)。

メンバーのデジョネットとボウイ、アバークロンビー、ゴメスはもうこのアルバムを録音した時点で、30歳代半ばなので、ジャズの世界でも中堅。バンドの中で、若手の有望株を育てていく、という雰囲気では無い。しかし、ここではレスター・ヤングという、ちょっと遅れてきた、先鋭的なフリーでモーダルなトランペッターを大きくフィーチャーしている。

アルバム全体の内容的には、完璧にフリー、かつモーダルな演奏に終始する。もともとデジョネットは、モーダルなジャズのバッキングを得意とする。そういう意味では「ぴったり」な役回りである。但し、ギターのアバークロンビーとベースのゴメスはどうなんだろう。フリーもモードもいけるが、もうちょっとポップなジャズやフュージョンの方が合うのではないか。

逆に、フィーチャーされているレスター・ボウイはフリーからモード向けの、アグレッシブなトランペッター。限りなくフリーな当時最先端の純ジャズ路線にピッタリ。このアルバム、デジョネットとボウイのデュオでも良かったのでは無いか、とも思う。

ドラマーがリーダーの役割がちょっと不明瞭になったアルバムではあるが、内容的には1970年代後半の最先端の純ジャズの雰囲気濃厚で、聴き応えはあります。まあ、ポップス性には欠けるんで、ジャズ者一般万民向けとは言えないところが玉に瑕ですね。
 
 
 
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Never_giveup_4

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