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2015年8月 2日 (日曜日)

昼下がりSP・デュオ盤特集・5

暑いですね〜。今日は、我が千葉県北西部地方は気温36度超え。しかも、一滴も雨が降る気配が無く、カラカラの「東京砂漠」状態です。もはやここは日本では無い。亜熱帯地方の身体に悪い、湿気の高い暑さである。

これだけ暑いと普通のジャズは聴けない。ボサノバ・ジャズの様な爽快感でライトなジャズか、シンプルで聴き心地の良いデュオ構成のジャズ辺りが一番良い。ということで、昨日から再び「昼下がりSP・デュオ盤特集」です。第5弾のアルバムは、John Abercrombie『Timeline』(写真左)。

John Abercrombie(写真右) のギターと Andy LaVerne のピアノとのデュオ演奏集。2002年9月の録音になります。このデュオ盤のジャケットを見つつ収録曲を見渡すと、Bill EvansのピアノとJim Hallのギターとのデュオ盤『Undercurrent』と『Intermodulation』への限りなく深いオマージュを感じます。 

この盤を聴いてみると、その感は一層強くなります。ジョン・アバークロンビーのギターは、ジム・ホールの個性を良く研究して、そのエッセンスを織り交ぜて、繊細でイマジネーション豊かなギター表現を実現しています。そして、アンディ・ラバーンのピアノは、ビル・エバンスに良く学び、ビル・エバンスのタッチをより明快にしたもの。

収録曲を見てみると、さらに、Bill EvansのピアノとJim Hallのギターとのデュオ盤『Undercurrent』と『Intermodulation』との共通点を見出すことが出来ます。以下はこのデュオ盤の収録曲なんですが、Bill EvansのピアノとJim Hallのギターとのデュオ盤『Undercurrent』と『Intermodulation』の収録曲を多く採用しています。
 

Timeline

 
  1. My Funny Valentine (Undercurrent)
  2. Darn That Dream (Undercurrent)
  3. You Go To My Head
  4. Skating In Central Park (Undercurrent)
  5. Inner Voice
  6. Stairway To The Stars (Undercurrent)
  7. I'm Getting Sentimental Over You (Undercurrent)
  8. All Across The City(Intermodulation)
  9. Chance Meeting
10. Turn Out The Stars (Intermodulation)
11, Adagio

全11曲中、『Undercurrent』と『Intermodulation』の収録曲が7曲と約8割を占めます。面白いのは、このAbercrombie『Timeline』を聴いていると、Bill EvansのピアノとJim Hallのギターとのデュオ盤『Undercurrent』と『Intermodulation』を聴いている様な錯覚に陥る時があります(笑)。

それでも、ジョン・アバークロンビーのギターとアンディ・ラバーンのピアノの個性は十分に反映されていて、エバンスとホールのデュオ盤とはまた違ったデュオ演奏を楽しむことが出来ます。

21世紀に入って、こういうジャズの古典的名盤へのオマージュ的なデュオ演奏を聴くことが出来るなんて、ジャズって本当に奥が深いですね。良い演奏で、ついつい最後まで聴き入ってしまいます。現代のジャズ・デュオ盤の佳作です。
 
 
 
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コメント

本当に暑いですね。^^

私は長年ジャズを楽しみながも、ある大きな疑問があります。
それは、「アドリブで日頃演奏したことのないメロディーやリズム(ドラムの場合)が果たしてできるのか?」という疑問です。

たとえばクラシックでは有名なチャイコフスキーのピアノ協奏曲1番は、当時指揮者のハンスフォンビューローから「演奏不能」といわれた、というエピソードが有名ですが、解釈を変えれば「初見では不可能」ということだ、と理解しています。

一方ジャズの場合、たとえばドラマーの場合どんなに手足がバラバラの動きをしている複雑なポリリズムでもそれは総て「あらゆるパターンの組み合わせの事前練習」の結果であり、決してアドリブで「手足バラバラの動きが可能」なんてことはないと思っています。

メロディ楽器の場合、互いにインスパイアされながら結果として「高い構成力」となることはあっても、「自分でも信じられないフレーズができた」なんてことは「フリージャズ」でもない限りありえない、と私は思っております。

何故必死で楽器の練習をするかといえば、楽器を「自家薬籠中」のものとしたいがためであり、その域に達した人が「テクニシャン」と言われるのだ、とも思います。

つまり、ジャズのアドリブといえども予定調和内でのことであり「様式美」を追い求めたひとつの結果である、ということではないのかなあ?と。。

私は「演歌」も大好きなのですが、これもある意味では「様式美」を楽しむジャンルであり、「演歌」=「プロレス」=「ハードバップ」に共通するものがあるのかなあ?なんて思うこの頃であります。^_^;

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